日本には昔から、政治と経済とは分離して互いにけん制し合う考えが定着していました。政治家は経済界に対し細かいことは口出ししない代わり、政治に対して経済人の口出しを許さない。高度成長の末期、バブル経済が崩壊した1990年代になってこの関係は一気に崩れました。
一時は米国経済と肩を並べるまで成長した日本経済ですが、95年の阪神大震災以降政治が差配する公的資金が経済に注入されるようになりました。特にバブル崩壊以降、多額の不良債権処理を巡り経済がお手上げの状態になり、政治が各段に優位になり経済への口出しが始まりました。
経済界を形成する財界人は、精々10年程度務めるサラリーマン社長なのに対し、政治の世界は親の地盤を引き継ぐ世襲議員が多数を占めるようになり、政治家の主張が圧倒的に強くなります。2000年代に入って小泉内閣が誕生し、その後に安倍、福田、麻生と元首相の孫である3世議員が首相になったのは象徴的です。
経済の世界は企業業績が悪化するとどんどん経営者が変わるのとは違って、政治は選挙にさえ勝つと信任されたということで、いつまでも首相を続けます。安倍元首相のように6度の選挙で全て勝つと、誰も文句を言えない環境ができてしまいました。
その間自民党内ばかりでなく社会からも、経済成長や賃金上昇など客観的評価を受けることなどまったくなく、ただ対抗馬の野党叩きをすることだけに専念していました。結局この不毛の政治によって酷い目に遭ったのは日本国民で、給料が20年以上も上がらない、非正規社員ばかりが増える暗黒社会に日本は入り込みました。
ただ安定しているはずの自民党政権も、世襲議員が支配する階層組織が出来上がっているため、この国を変えることなどできそうにありません。ズルズルと赤字国債を発行し続け、最後は国の予算が組めない事態になって、IMFからの支援を仰ぐような事態も考えられます。
どちらにしろ経済の世界では見栄っ張りの3代目社長がカネを湯水のように遣い過ぎ、最後は借金まみれで倒産するストーリーを再現することになりそうです。落ちるところまで落ちないと、自民党にやりたい放題にむしり取られる事態は終わらないのでは。
これまで新興国並みに一党支配を許してきた日本ですから、その後については各自が自分なりに自立を考え生き抜くことです。阪神大震災以降、日本国民は政府や自治体からの支援を受けることがそれ以前と比較して各段に増えました。そろそろ公的資金も自民党政権によって底をつきそうな気配です。
【ひと言】
今後の日本の姿を参考にするなら、インフレで国ががたがたになっているトルコです。ここはエルドアン大統領の金利引き上げを拒否する政策によって、国民はインフレの被害をもろにかぶっています。日本は桁外れの借金により金利を上げられない事情は違いますが、食品や家賃など上昇が止まらず7月は80%近い物価上昇です。今後日本も同じ道を歩みそうです。
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