日本では官民を挙げて、世界の先進各国から2周遅れと云われるデジタル化推進に取り組んでいます。デジタル庁を立ち上げ、全省庁が一体となって遅れたDXに取り組んでいると思いきや、公務員の人に言わせるとDX向けの会議は増えたけれどほとんど実態は伴わないようです。
一つには、採用する公務員の大半がペーパーテストによる紙文化に強い人たち。役所に入った後も特別にデジタル教育は受けていませんから、人材不足も甚だしい。日本国内でも、情報システム関連の学部はほとんど増えていません。圧倒的な人材不足によって、会議をして何が必要か説明するしかない状態です。
二つ目が、日本の公務員組織は国も自治体も階層化構造が強固なため、デジタル構造とは相性が悪いこと。徹底的にデジタル化を進めた組織といいますと、アップルやグーグルと云った巨大IT企業を思い浮かべると思います。GAFAMには、部長や課長と云った役職がありません。
大半が部門責任者(マネジャー)だけで、日本のように部長、担当部長、部長代理、副部長といった細かな階層とは無縁です。国家公務員なら事務次官を頂点に、地方自治体なら事務担当副知事、副市長を中心としたヒエラルキー構造ができている日本。
ヒエラルキー構造が変わらないのは、重要な情報を限られた人間に集中させるためです。デジタル化をするのは、組織の上層部から課員全員まで情報共有をすることで効率とスピード感を高めるためです。デジタル化と云いながらヒエラルキーを残すと効率は上がりません。
日本社会のコストや進歩を考えると、デジタル化を進める必要性は痛いほど判っている政治家や官僚ですが、自分の保身のためにはアナログの方が都合がよいわけです。現状のままなら日本はいつまで経っても変われないと思います。
そのため個々の自治体や企業によっては、独自のやり方でデジタル化を進めて結果も残しています。デジタル化推進に自信のある人は、自分やグループで組織を立ち上げ国に頼らない起業を進めた方が早いです。どうもこの国は、良い方向に進もうとする人ばかりではなさそうです。
【ひと言】
個人が日ごろの習慣を変えて、飲酒を止めたり本を読んで知識を増やしたりするのは、一方で切羽詰まった事情が発生するからです。変える事情がない限り、長いこと慣れ親しんだ習慣は変えられません。これは会社や役所においても同じことが言えて、会社なら倒産の危機が発生すると顔色が変わります。ところが役所の場合は倒産する心配がありませんし、赤字国債を発行し予備費を閣議決定で出し放題となると、今の状態はいつまでも続きそうです。自民党に代わる政党のないことが、この国の最大の不幸です。
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