わたしの住んでいる街でのことです。これまで中堅の建設会社に勤めていた男性が、58歳で転職することになりました。嫁さんの実家が経営している電気工事会社に、病気で入院した岳父から引き継ぐカタチで入社しました。定年が間近になったことで、60歳以降の生活を考えると収まるところに収まる感じです。
ただ電気工事は建設の関連業種ですが、実際の仕事内容はまったく別モノ世界。しかも社員が15人の小企業ですから、本人も現場に入って仕事をする必要があります。片方で不慣れな会社経営を考え、一方で新しい仕事を身体を使って覚えることも必要です。
最初この話しを聞いたとき、それほど難しいとは思っていませんでした。誰もが起業したときには、まったく知らないお客さんや取引先相手に苦労しますから、会社の後継者という立場なら乗り越えられると考えました。ところが58歳という年齢は意外とハードルが高いです。
これまで建設会社の管理職として働いたプライドがあります。若い社員には気楽に業務に関する質問ができますが、年齢の近い管理職には聞きづらいといいます。そのため会社の重要課題に関しては、聞きづらいこともあって積み残しになったまま。
コロナ感染以降、岳父とは面接できない状態が続いていて、まったくの手探り状態が半年以上に渡っています。しかもこのような問題は誰かしらに早めに相談するとよいのに、行き詰って身動きができなくなってから「実は・・・」と話し始める始末です。
大事なことは、以前の会社員から会社経営者へ立場が変ったのですから、頭を切り替えることです。これは言葉で言うほど簡単なことではないですが、それでも自分で意識的に切り替えるしかないことです。しかも会社経営者という立場を忘れること。
現場に入ったら「実行者」に徹することです。経営者の立場を考えないと人に判らないことを聞くのは、「実行者」としては当たり前のことです。目的は工事を完成させることですから、目的に向かって「実行者」としての役割を徹することです。
これは新たに起業した人も同じです。丁寧な対応で人に教えを乞うたら、大半の人は親切に教えてくれます。ビジネスにおいては、起業する人が同業者に教えを乞うことはあります。教えてもらうプロセスはありますが、自分の会社の社員なら決して難しいことではないです。
また現場を離れたら、私心を捨てて経営者として考える習慣をつけることです。この頭の切り替えは、起業前の会社勤めの時期から早ければ早いほどよいです。この習慣を身に着けると、その後の事業の取り組みが思いのほか楽になります。
【ひとり言】
最近、来年以降に押し寄せると思われる不況に対し、事前準備を進める会社が増えています。これまでも経験したことですが、大不況が到来する前から予兆は感じるものです。ただ、2000年前後のIT不況の時は米国が財政出動をしました。08年のリーマンショックの時は中国が大判振る舞いをしました。しかし23年以降にはその候補国が見当たりません。ここがとても不安になるところです。
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