昨年亡くなった京セラ創業者稲盛和夫さんが、講話でよく話題にしたのがレンズ研磨を行う会社の話です。東京・青梅市にあるその会社は、京セラが吸収したカメラ会社ヤシカの取引先会社で、毎年赤字を垂れ流していたお荷物会社でした。
お荷物とはいえ、カメラ会社にとってレンズ研磨は欠かせない事業です。京セラが幹部を派遣してもどうにもならなかった会社を、京セラの現場責任者だった人を派遣し見事黒字経営に転換させ、京セラオプテックとして18年には京セラ本体に合併されています。
稲盛さんが言っていたのは、レンズ研磨のような3Kビジネスの事業は人が集まらないとか、単価が安いとか現状は厳しいが、やり方次第で将来の可能性は大きいということ。京セラ自体、セラミック製造は泥を相手に高温で焼く過程は3Kそのものです。
日本には似たような労働環境の悪いビジネスが多数あります。まもなく自動運転が始まることもあって、現在はトラックドライバーもなり手の少ないハードなビジネス。今後もネットによる電子商取引は増えますから、配達需要が下がる気配はまったくありません。
自動車整備工場も、低賃金なのに仕事は忙しく社員の定着率の低いビジネスとして知られています。 現在は自動車のメカニックはIT化が進み整備士には高度の技術が求められます。一方で、自動車整備は販売会社のサービスの一環といった性格が強く、どこの会社も給与は安いのが一般的。
これまで3Kの代表業種の一つだった産業廃棄物処理業者は、廃棄物の中に含まれる希少金属類の再生が都市鉱山として利益を生み、今では注目されるビジネスの一つとなっています。同じように、ゴミ処理会社も自治体から安定した収益を上げて、経営的に成功している会社が多いです。
今の昔も、人がやりたがらない仕事には高収益を生む事業成功の秘密が詰まっているようです。世間的に知られた3Kビジネスではなくても、人知れず嫌われている仕事は起業に向いています。今の時代、DXと絡ませながら誰にも知られない隠れた収益源を自分で作ることです。
【ひとり言】
最近の事業の立ち上げ方をみていると、自分が3Kビジネスの現場から事業を立ち上げるケースと、3Kビジネスの担い手の人を対象にネットワークでつなげて仕事を紹介するケースと2つの道があります。3Kビジネスは現場仕事をしている人や会社を探すのが難しく、イザというときはお客さんの側も苦労しています。誰もが開業を狙うビジネスは競争が激しいですから、人があまり通らない道を進むことを考えるのも手です。
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