トヨタ自動車社長豊田章男さんが退任することになりました。まだ66歳で、現在のトヨタの窮状を考えますと何故今退任なのか、その理由が判然としません。ただ会見のなかで「自分は古い世代。車屋としての限界も感じている」と発言しています。わたしの推測ですが、これからトヨタが行わざるを得ない規模の縮小を意識した発言ではないかと思っています。
既に始まっている脱炭素の流れのなか、自動車メーカーはエンジン車から電気自動車に向かうか、水素自動車に向かうか判断が分かれました。例え電気に向かったとしても、走行のための充電は欠かせませんから発電施設の段階で再生可能エネルギーへの転換が必要です。それなら水素に最初から向かった方が、社員削減やグループ、下請け企業の淘汰をしなくて済みます。
トヨタは水素に方向転換を考えましたが、中国をはじめとする世界の流れは電気に進みました。日本だけが各地に水素ステーションを作る計画でしたが、世界の自動車産業の向かう方向にあらがうことはできません。日本も最後は、充電施設か水素ステーションかに分かれましたが、ほとんどの国と同様に設置が楽な充電に向かっています。
ここから見えてくるのは、日本による世界への影響力がほとんどなくなっていること。そして現在は世界一の自動車販売数を誇ったトヨタ自動車が、首位の位置から転げ落ちることが現実になること。日産や三菱を除く日本の電気後発メーカーは、これから厳しい自動車市場で一周以上の遅れを取り戻そうとする戦いを強いられることになります。
同時に、日本経済も大黒柱のトヨタの収益は落ちますから、目玉の稼ぎ頭のいない冬の時代を迎えることになります。今の日本経済は自動車製造だけが世界トップで、その他に世界の先端を走るメーカーはほとんどないのが現実です。外貨を稼ぐ力がないと、日本経済は次第に沈下せざるを得なくなります。
1990年代、世界の企業ランキングでトップテンに7社も入っていた日本ですが、22年はトヨタの6位でその下はホンダの26位。この両社も電気自動車の普及に従ってランクを下げざるを得ません。そこに合わせるように日本経済の低下速度を上げそうです。
一方では、政府が防衛費を倍増にする図る計画を立てています。簡単には払えそうにもない国の借金。その上に自動車産業の衰退と防衛費の倍増ですから日本経済の先行きを真っ暗と感じるのはわたしだけでしょうか。国民の一人ひとりが自分の行く先を真剣に考える必要がありそうです。
【ひとり言】
現在日本は世界3位の経済大国です。少し前までは2位でしたが、人口14億人に中国に抜かれました。人口1億2千万人の日本が世界2位まで上り詰めたのは、他国と違い平和憲法があることによって、軍事力に多額の資金を使わなかったためです。今後政策転換によって軍備に多額の予算を使いますから、経済はどんどん細ることが予想されます。同時に、今の子供たちは兵士へと徴収される可能性も高くなります。
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