暗い話ばかりが目立つわが国ですが、最近珍しく明るい話というと農水産物の海外輸出が21年に続き、22年も1兆円を超えました。人口減少と国民の買い控えで不況色の濃い日本経済ですが、海外輸出に関しては円安も手伝って好調に推移しています。
過っては海外輸出というと大手企業の独壇場でした。現在は中小企業でも国内の販売不振を補うため輸出に力を入れています。日本酒は、国内市場で年々売り上げ減少に歯止めがかからないのに、輸出となると日本食ブームの波に便乗するカタチでどんどん輸出されています。
日本企業はこれまでも、円高になると海外から輸入品の取り扱いが増え、円安では輸出に鞍替える企業が多数ありました。古くからの企業なら多くの中小が、過去に一度か二度海外企業との取引をした経験があります。会社が生き残るためには、外国語が判るかどうかとかいう前に対外取引をしているものです。
現在の日本の経済状況を考えるなら、今後円の威力は落ちることが予想されますから、輸出に注力することは当然の流れです。もし今の事業が製造業ではないとしても、中小メーカーを相手に輸出のサポートや商社機能を果たすことは可能です。
先月ユニクロが、国内管理職の給与をいきなり最大40%上げると発表して世間を驚かせました。今海外展開している会社に共通していることですが、デフレで苦しんできた日本企業の給与が世界で最も低く、他国のマネージャー職の給与と揃えようとするために4割アップになったようです。
寿司職人や保育士をはじめとして、人手不足を補うカタチの海外転職をする人が増えています。起業する人も、弱体化する日本で従来と同じ手法のビジネスをするよりは、円安の追い風を利用した輸出を糸口として事業を考える時代が来ているようです。
【ひとり言】
「日本は不景気」という言葉を、バブル崩壊以降20年以上に渡って聞き続けてきました。ところが不景気の時でも、よく目を凝らしてみますと好景気の業種や業態はあるものです。円安が売りの安倍氏が登場するまでは、円高をテコに輸入業者がしっかり利益を上げていました。今は、円高が円安に切り替わっています。同時に、日本社会が抱えていた含み資産まですっかり貧しくなってしまいました。
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