包丁は毎日どこの家庭も食事時にはつかう家事の必需品です。最近は、ステンレス包丁を使う家庭が多くなって砥石でしっかり刃を研ぐ家庭は減りました。ただ鋼(はがね)製包丁の場合は長期間使用すると切れ味が悪くなるため刃を研ぐ必要があります。
特に寿司屋や焼肉屋などの飲食店、スーパーの鮮魚や野菜売り場、料理教室などでは、専門的に包丁を使い続けるため庖丁研ぎは欠かせません。料理人や調理師が直接自分で研ぐこともありますが、最近わたしが注目しているのが庖丁研ぎの宅配サービスです。
石川県能登町の『ふくべ鍛冶』は、4人の研ぎ師で運営している専門の会社。この会社、直接お客さんとコンタクトをとるよりも、提携先のパートナー会社に集客を依存しています。このパートナー会社は、石川県下のスーパーやオイシックス・ラ・大地、BEAMS JAPANなどがあります。
パートナー会社が包丁研ぎサービスの紹介を行い、お客さん集めを担っています。お客さんからの注文を『ふくべ鍛冶』に取次ぎ、包丁の発送はふくべが行う仕組み。月間1000本から2000本の包丁研ぎを4人でこなしていくことで会社は回っています。
サービスの紹介や注文をパートナー企業が行う点がこの仕事のキモです。現在では希少サービスともいえる包丁研ぎは、パートナー企業にとって顧客とのコンタクト手段の一つとなっている点です。手間と高度な技術のいる作業なので、腕のしっかりしている研ぎ師なら逆にお客さん側からお願いしたいほど仕事です。
小さな組織の会社が、注文取りから商品の発送まですべてを行うのは負担が重すぎます。往々にして起業家は大きな利益を上げるため、事業の川上から川下まで全ての工程を自社でまかなうことを考えがちです。結局オーバーワークになることで、事業に飽きる原因になります。せっかく起業したのに何も楽しくありません。
また売上げは大きく上がっても、事業の次の展開を考えたり深堀りするための思考時間がまったくもてません。よく「こんなんだったら起業するんじゃなかった」という愚痴を聞くことがありますが、このオーバーワークの罠にはまった人から聞くことがほとんどです。仕事の仕組みづくりの構築は大事です。
【ひとり言】
この10年以上、国内で面白い起業をしている人の大半は地方発のビジネスです。固定費が安く、ネットを活用することによって、息の長いビジネス展開をするには地方で開業する方が断然有利です。しかもアナログ素材とデジタル通信との組み合わせは、思った以上に相性がよいです。都市圏から地方に移住する人も増えていて、おもしろい時代になりそうです。
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