23年1月の日本の貿易収支は3兆5千億円の赤字となり、単月では1979年以来最大の赤字を記録しました。中でも中国向け輸出は17.1%もの減少です。自動車、自動車部品、半導体製造装置などが軒並み減っています。
日本経済にとって中国との貿易額は、全体の28%を占める最大の貿易相手国です。一方日本の同盟国とされる米国と中国の間では、世界の覇権をめぐって激しいつばぜり合いが続いています。米国議会のなかには、台湾の独立を支持する議員も多く中国を刺激し続けています。
ただ米国と中国の間の貿易量は昨年過去最高を記録していて、対立関係もどこまで本気なのか疑わしいです。バイデン大統領も中国との間の会話のチャンネルを閉ざすことはしません。中国と戦争をする気はないとはっきり何度も言明しています。国民や議会向けに強気の発言をしますが、戦争をしてまで現在の安定を壊す気はないようです。
米中の間には挟まっている台湾は、政府も国民も中国から独立する気はないと調査で何度もはっきりしています。現在の台湾は、日本よりも一人当たりのGDPが高く、台湾企業が考えた製品を中国で製造する分業体制ができていて米中間さえ揉めなければ、台湾はわが世の春を謳歌できる状態です。
そんななか日本の国会は、中国との衝突に備えて防衛費を倍増したり、中国との貿易に過剰に反応しています。元々安倍元首相は中国を敵視した政策に熱心な人で、安倍氏亡き後も100名近い安倍派の国会議員がその意思を継ぐ政策実現に熱心です。
安倍氏の存命中から問題とされていたのは、中国を敵視して輸出入のハードルを高くし過ぎたなら、対中事業を行っている日本企業の経営をどうするかまったく考えていないことです。日本と中国との間には自民党政権によって友好平和条約が結ばれていて、日本は台湾が中国の一部であることを条約で認めています。
それなのに台湾問題で日本が武力に頼ろうとするのは条約違反に当たります。亡くなった安倍氏の意思を継ぐというよりも、安倍氏の名を語って派閥の結束を高めようとする姿勢は、日本自身を危うくすることにもなります。現在生きて生活している日本人の安全を第一に考えないと、死んだ人の意思は誰も責任の取りようのない事態を招くことになります。
中国でビジネスをしている人も、しっかり日本経済を支えている人たちですから、彼らが窮地に追い込まれることのないように政権や国会議員は責任を果たすべきです。中国に対しては、軍事ではなく外交手段によって問題解決することで、米国とも共同歩調を釣ることが可能です。
【ひとり言】
安倍派の人たちは安倍元首相を持ち上げますが、現実はほとんど成果を出さずに2度も病気で首相を辞めた人です。現在の日本は、GDPではドイツとインドに間もなく抜かれます。世界における日本の地位も、1990年代には世界経済の18%を占めていたシェアも4%まで小さくなっています。こんな国がG7議長国と言っていられるのも、そんなに長いことではなさそうです。
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