23年1月のわが国の消費者物価は+4.2%と41年4カ月ぶりの高い上昇になりました。1981年12月以来の高い水準で、当時日本経済が元気一杯の時代の記録です。今は体力が落ち続ける中での物価上昇ですから、家庭生活と同時に事業者の経営にとっても厳しい状況です。
結局、大半の国民にとって収入がそれほど増えないなかでの物価上昇です。消費者の皆さんは、以前の消費と比べて購入量を減らすか、購入品目を減らすことで出費を抑えようとします。それでなくても高齢化が進み消費量の落ちている日本ですから、二重三重に日本の消費は落ちることになります。
コロナ前と比較しますと、お客さんはこれまで以上に販売価格に敏感になります。大半のお客さんには、日ごろの買い物において絶対に欠かせない商品があります。例え値上がりが激しくてもその商品は買いますから、反対にそれ以外の商品には厳しい目が向けられます。
小企業のビジネスの場合、日ごろ取り扱っている商品やサービスは大手の取り扱わない商品が多いはず。現在のインフレの下では、どうしても買い物の優先順位の低いモノばかり扱うことになります。不況の時には、真っ先に売上げが落ち込む側でビジネスをしていることになります。
そこで考えたいのは、ほとんど他社が扱っていない商品やサービスに狙いを定めること。そのためには、自分の得意分野を設定しその世界だけで寝ている特許や埋もれた商品にアプローチするべきでは。この国には、まだまだ陽をみない商品があるはずです。
福岡県にある「ルミカ」は蛍光ペンライトを開発した会社。それ以前は蛍光ルアーを最初に開発して、その技術の延長線上にペンライトがあります。ほぼ独占状態で製造販売をしているので、価格競争に巻き込まれることはありません。
これからの起業においては、一つのビジネスモデルとして参考になる会社です。今の日本では、価格競争に巻き込まれないことは大事な課題です。あまり売れすぎると大手が参入しますから、ほどほどの売れゆきで競争のない市場を目指すべきです。
そのためには準備段階で、扱う商品、サービスを徹底的に峻別するべきです。これから向かう市場を調べ抜いて、できたらまだ市場で知られていない商品を探すこと。自分で開発するのが難しかったら、特許を調べた 「りネット上の過去のデータを参考に、顧客ニーズとすり合わせて探し出すことです。
【ひとり言】
「ルミカ」のデータをみていて面白かったのは、自社で開発した新製品ばかりを扱っていること。競争のない商品ばかりなので利益率が格段に高く、新製品開発に専念できる研究者を集めることでユニークな経営を可能にしています。他の会社では持て余してしまう優秀な人材が集まり、刺激し合う会社は日本の中小企業では珍しい存在です。
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