現在、事業をしている人なら実感していると思いますが、わが国の宣伝広告はテレビ、新聞、ラジオなどを追い越しネット広告が約40%を占めています。大企業から小企業まで、スマホやパソコンを通した広告が主流を占める時代になりました。
そのネット広告において、最近は閲覧数の水増し疑惑が語られています。よく「以前と比べてクリック数が増えても売上げは比例して伸びていない」と云う嘆きが現在の実態の反映しているようです。現実に詐欺グループが存在していると言われます。
「アドフラウド」と云われる事例では、自動プログラミングの「ボット」を使って自動クリックを繰り返すことで閲覧の水増しをしています。この仕組みを広告主がチェックすることは不可能です。広告サイトを見る人が開けるたびに、広告枠の自動入札が実施され瞬時に仲介業者が決まっています。
「ターゲット広告」においては、ネット利用者の閲覧履歴を瞬時に分析し、広告画面が表示される前にいくつもの仲介業者が関わって、そこでクリック回数に応じて広告費が決まっていきます。このネット閲覧での取引は複雑で全体把握が見えにくくなっています。
ここに仲介業者を装う詐欺グループが介入して広告費の中抜きをしています。中には広告出稿している会社のライバル社が、広告費の吊り上げを狙い仲介業者をつかうケースもあるようです。また暴力団組織に資金が流れているとも噂されています。
これらネットに関する悪質広告情報は、米国のインテグラル・アド・サイエンス社からのもの。日本で発生しているネット広告不正の発生率は、22年1~6月期で3.3%に達していて、世界の平均不正率1.4%を大きく上回っているのが現実です。
このままでは、ネット広告に対する信頼感が次第に薄らいで、市場の発展が歪む可能性さえあります。従来の広告と比較して、圧倒的に見える化が進んでいると思われてきたネット広告。まさかこんなところに落とし穴があって、不正が横行しているとは思いもしませんでした。
日本国民は、他の先進国と比較してネットスキルが劣っているとも言われます。国民も企業も、フィッシングやネット詐欺にはかかりやすいようです。本気でこの手の詐欺を駆逐しないことには、この国でのDXの普及は期待できません。
【ひとり言】
今、映画「Winny」が公開されています。日本人の天才的なプログラマーが開発したファイル共有ソフトで、米国製ソフトよりも優れていると高い評価を得ていました。ただ悪用され映画や音楽がこのソフトを使ってネット上に流出したことで犯罪行為とされ、開発した金子勇さんも亡くなりました。日本では既存企業の開発は保護されますが、個人の開発は多くが姿を消しています。米国にデジタル開発で差をつけられる原因にもなっています。
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