関西電力の28歳の社員が、就活の学生に代わりウェブでの入社試験に替え玉受験して有罪判決を受けました。この社員の個人的な事情は分かりませんが、社会人になって5、6年の仕事が面白くなる年代の若者です。何で学生の身代わりになるリスクを犯してまで試験を受けるのか、余程試験に受かることには自信があるようです。
多分、受験勉強が好きで頭の良さを人に見せつけたい気持ちがあったように思われます。会社に入るとIQの高いことを鼻にかけたり、難関大学の出身であることを自慢するタイプの社員はけっこういます。ただ頭の良さと会社の業務実績とが結び付かないことは、長く会社にいると判ってくること。
IQの高さを自慢できるのは精々20代前半までの話。会社に入ったり自分で起業しますと、IQよりも心の知能指数と云われるEQの方が重要であることが判ってきます。EQとは、自分の感情をコントロールしたり、他人の感情を理解して共感することのできる能力です。
元々は、ビジネスで成功している人とIQとの相関関係を研究しているなかで、実際に成功している人に共通している特性としてEQの高さが注目されました。エール大学のピーター・サロベイ教授とニューハンプシャー大学のジョン・メイヤー教授が提唱して、米国のビジネス界では広く知られています。
「怒りや不安など心理的不安定な状態を自分で鎮めることのできる能力」「他人の感情を自分のことのように感じとれる能力」「自分の意見や判断を率直に人に伝えることのできる能力」「人間関係で発生するトラブルに対し冷静に解決策を見つけだす能力」など、EQの能力はビジネスで直ぐ役立ちます。
何より重要なのは、IQが遺伝などの先天的な要素が多いのに対し、EQは教育や訓練を通して今からでも能力を身に着けることができることです。関電の若い社員も、いつまでも試験勉強にこだわらなくても、会社の業務で活躍できていたら警察に捕まることもなかったはず。
これからの時代はいくつになっても、リスキリングやコンカレントといった能力向上が求められる時代が続きます。自分磨きを高めるためにも、EQによる能力向上を欠かすことはできません。EQの存在を初めて知った人も多いと思いますが、ネットで調べて自分に当てはめてください。
【ひとり言】
今ビジネスの世界では、AIを活用したchatGPTが急速に普及しています。日本の国会でも、同じ答弁を繰り返す岸田首相に腹を立てた野党議員が、chatGPTを使って首相に成り代わった発言をさせる試みまでしました。今の首相の答弁なら、人間よりもAIに発言させた方が真剣な論議になるような気がします。IQの発展形がAIです。EQは感情を理解した知能ですから、AIには難しい知能レベルです。
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