日本が世界一の借金大国であることは大半の国民が知っていること。日本と同じように先の大戦で敗戦国となったドイツは、膨大な借金を抱えたことによって二度も大戦に負け、ヒトラーの大罪を生むきっかけにもなっているため、今は国の借金に対してたいへん神経質になっています。
アメリカも国の財政には神経質な国です。そのアメリカで5月1日、イエレン財務長官が議会指導者向けに書簡を送りました。「現在の政府財政では6月1日にも行き詰る」という内容です。1月の時点では大丈夫としていた財政の悪化が予想される事態に進んでいるために早急の対応を求めています。
このままでは債務不履行(デフォルト)に陥る可能性があり、それを避けるため年度初めの予算の上限を引き上げを急ぐように要請しています。アメリカもコロナ禍によって予算膨張は続いていて、既にデフォルトを避けるため連邦政府も州政府も予算内で特別の資金繰りを実施しています。
アメリカの場合、その年の税収に合わせて歳出を左右させることの仕組みができています。今年3月からはアメリカの地方銀行破綻が相次いでいて、このままでは資金不足の事態が予想されます。イエレン長官は与党民主党が多数の上院と違い、下院は共和党が多数のため要請文を出したようです。
日本でも赤字国債発行に関して一応の歯止めはあります。日銀法では日銀の国債買い支えを禁止していますが、民間銀行向けの市中に出回っている国債を日銀が引き受ける裏技で、全発行額の50%を超えるまで引き受けています。ほとんどザル法状態で、歯止めの利かないところまで現実は進んでいます。
もしアベノミクス支持者が云うように、日本のような有力通貨発行国ならいくら赤字国債を発行しても財政は大丈夫と云うなら、米国の公聴会にでも出て自論を展開するべきです。MMT(現代通貨理論)はこの大丈夫理論の裏付けとされていますが、元は米国発の考え方で本来なら連邦政府や州政府が活用すべき理論のはずです。
安倍政権は日銀法の趣旨に反して国債買い支えを強要し、米国に代わって日本が実験台の役割を担ってしまいました。もしもこの理論が間違いであったなら、日本国民が末代に渡って借金の返済を行うことになります。「日本銀行は日本政府の子会社」なんてとんでもない事実誤認をしている元首相を誕生させた責任を、国民は否応なく負うことにもなります。
そして今の日本が抱える最大の問題は、大きく膨れ上がってしまった借金を返済するための手段がないことです。最大の稼ぎ頭だった自動車は成長の目玉の電気自動車への転換で失敗し、その他は観光程度しかないこと。失敗を何度も重ねる自公政権の罪は重いです。政府を当てにしないで生きる術を自分で考えるしかないです。
【ひとり言】
今北海道の酪農家は、餌代の高騰や牛乳の価格低下によって事業の継続が難しくなっています。既に廃業をする農家もでていると云われます。ここで止められると、その後の牛乳や肉の生産で変調をきたし結局そのツケは国民が払うことになります。政府が一時的に支援することで何とでもなる問題ですが、防衛費の5年間43兆円の縛りがあるため見殺しにするしかなさそうです。外国の攻撃よりも、日本は内部崩壊しかねないほど事業も家庭も苦しんでいます。
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