岸田首相が米タイム誌の特集「日本の選択」のインタビューで、「日本を真の軍事大国にしたい」と発言しているようでびっくりしました。戦後日本は70年以上に渡って平和主義を貫き、それまでとは違って戦争のない国になりました。この主張を捨て世界第3位の経済大国に見合った軍事大国に変えるというのです。
2021年10月首相に就任した岸田氏は今後5年間で43兆円の軍事費をつぎ込み、軍事力の増強に努めるといきなり閣議決定しました。これにも驚きましたが今度は軍事大国です。しかもこの国の根幹にかかわる問題を、日本国民向けに発言をしないで米国の月刊誌上で公表するのは、主権者の国民をなめ切った行動です。
戦後の首相は米国に貢献することで在任期間は長くなると噂されてきました。トランプ大統領に求められ兵器の爆買いを進めた安倍晋三氏を筆頭に、小泉純一郎氏、佐藤栄作氏、中曾根康弘氏などは長期政権です。反対に、米国支配から離れることを目指した鳩山由紀夫氏、細川護熙氏、田中角栄氏などの内閣は短命に終わっています。
これまで米国からの武器輸入のための資金作りを行い、対中国向け半導体設備輸出では米国に云われるままに後先を考えずに取り止めてしまった岸田首相です。首相の在任期間は長くなりそうです。ただ日本国民としては、戦後経験したことのない財政赤字のために税金は獲り放題、公共サービスは資金不足でますます劣悪になりそうです。
また軍事大国を目指すということになりますと、若者の徴兵制度が問題になります。何故なら、現在の自衛隊の編成は前線に立つ若い隊員が極端に不足して定員の80%弱しかいない状態。それでなくても日本社会全体が深刻な人手不足に陥っているのに、国を守る大義名分のもと自衛隊と企業とが若い人材を獲り合いになることは必至です。労働力不足では日本経済の将来がなくなります。
またこれまで自衛隊は官庁としての存在が薄かったですが、軍事大国ということになると防衛省の発言力は各段に強くなります。戦前の日本は、軍人が首相を務めて国の政治を動かして戦争に突き進みました。世界には軍隊が国政に大きな影響力を持つ国は多数ありその全ては強権国家の国です。日本もシビリアンコントロールが崩れると戦前の政治に逆戻りします。
そして最も恐れるのは、短期間に世界3位の経済大国日本が成長した理由は、戦後の国造りにおいて軍事力を棄て経済だけに特化したことです。経済も軍事もと先人が欲をだしたなら、今の日本の経済成長はムリだったというのがほとんどの経済学者の共通認識です。その成長も最近は赤字国債に頼った見せかけの経済大国です。
G7開催を前にして浮かれている岸田首相の判断は、決して日本国民の安全や国の発展を考えてものではありません。単に自分の保身を考え、安倍派からの支持を得るためだけの軍事大国化です。今後、世界規模の景気後退は避けられない状況です。米国が6月から債務不履行になったり、国内で大災害が起こったらたちまち日本は危機的状況になってしまいます。
【ひとり言】
自民党内派閥順位で第四位の岸田派が政権を長引かせるためには、最大派閥安倍派の支持が欠かせません。そのため、43兆円の防衛費も軍事大国化も安倍氏の願望をそのまま引き継ぐことで、安倍派の異論の出ない状況を作っていると評論家は解説しています。世襲3代目の岸田氏にとって、首相に就任することは一族の願いだったようです。ただ政治家としての理念や信条もなく、安倍氏の願望のままの政治をされると国民は泣かされます。
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