我々は毎日同じような生活をしているように思いがちですが、そんな中でも徐々に前進するのは周りの環境のお陰です。特にビジネスの世界は想像以上の速度で仕組みや商品、サービスが変化しています。その一例として事業継続計画(BCP)があります。日本企業の場合、21世紀に入ってから東日本大震災、リーマンショック多分、コロナ大感染が起こっています。
たかだか23年ほどの間に、日本社会を揺るがす100年に1度ともいえる大問題が起こっています。経営者が将来のことを何も考えず事業をしていたなら、多くの会社はこの3度の荒波に飲み込まれていたはずです。そのような事態が発生しても慌てないよう前もって対応を準備しておくのが事業継続計画(BCP)です。
多分これから起業を考える人にとってBCPと云ってもちんぷんかんぷんと思います。実際に動きだすのは将来の事ですが、少しでも他社より新しい取り組みを考えたいなら、最初に必要となるのが会社設立後の撤退基準の策定です。これは会社設立を考えると同時に、設立した会社がどの程度傾きかけたなら事業を止めるかタイミングを考える事です。
起業時に撤退のタイミングまで考えることのできる起業家は本当に少数派です。ただ一度失敗した経験がある経営者になると、この撤退を考える意味の重要性を知る人は少なくありません。最初から撤退を考えるのは、必要以上に深い痛手を負わないため。同時に、次のビジネスを進めるためには早めに見切りをつけることが必要だからです。
多くの場合の撤退基準は、「3カ月連続で売上げの減少が続いたとき」というようなざっくりとしたカタチになります。これに前月比で10%以上や20%以上といった付帯条件を組み合わせます。個々の会社の業態や規模によって条件が違うために条件が必要になります。ただこの縛りを設定することで事業計画にも影響が及びます。
最初に撤退を考えることによって、事業計画の中身が希望に満ちたモノから現実に併せる効果が生まれます。現実には、開業後1年も持たずに撤退する人がほぼ半数近くいます。こんなに短期間での撤退が多いのに、撤退を無視して起業する方に無理があります。日本でのビジネスの幼稚さがここにもあります。
企業経営に関して、日本は決して他国に比べて優れているわけではありません。世界の先端に比べますと遅れているようにも思います。経営者個人の能力よりは、企業の従業員のレベルが相対的に高いことで世界的企業が育ってきた環境があります。そのような環境では撤退基準など考える余地がないので、経営者が自分で取り組むしかないです。
【ひとり言】
現在、世界的なインフレによって物価上昇が続いています。企業は原材料費の引き上げや、人件費上昇によって経営が厳しくなっているはずなのに、現実は20年3月以降は企業の利益が大幅に上昇というデータが米国ででています。日本においても、23年3月期インフレで企業業績が悪化している企業の話はほとんど聞きません。物価上昇と企業収益との因果関係を知りたいものです。インフレ倒産した大手企業はまったくないのは不思議です。
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