2007年、当時の社会保険庁で5000万件の年金記録に不備が発見されたいへんな問題になりました。今回のマイナカードデータ流出もたいへんな問題です。政府が次々にデータの紐付けをするため、図書館経由で他人の個人資産がみられるなんてことが現実になりそうです。
現代のITシステムの構築は、フラットな組織で取り組むことが欠かせません。政府のようなピラミッド型組織がシステム開発を進めようとしても、次々に発生する問題の対処はムリ。官庁は過去に何度もシステム開発を下請けにして失敗を続けています。
明治時代から続く官僚組織が、今のIT時代に対応できると思う方がおかしいのでは。今日話題にしたいのは、4月にも日本を訪れたchatGPTの生みの親、openAI会長のサム・アルトマン氏です。38歳の彼は、5月には西欧各国を回り、米国議会でもAIの証言をしています。
彼が注目を集めているのは、AIを開発、提供するためにライセンス制の採用を政府に提言しているから。GAFAMをはじめとするこれまでのIT企業創業者とはスタンスが違います。これまでは、できるだけ政府の規制をなくして自由に事業を進めることを求めてきました。
アルトマン氏は、「ITビジネスは、事前にある程度のルールが整備されていることでイノベーションは実現しやすくなる」と主張しています。また先端技術のリスクを隠さず公にしている点も、これまでのスタートアップ起業家とは違っています。
現代の米国IT起業家というとイーロン・マスク氏を代表として個性の強い巨額の資産家が大半でした。ここでもアルトマン氏は一線を画していて、生成AIの先頭を走るopenAIの株式はまったく保有していないと云われています。
15年、10億ドルを外部からの調達によってopenAIを設立していますが、この時は非営利目的組織でした。その後、研究開発費用が予定を超える金額になったため、マイクロソフトからの資金提供を受けることでchatGPTが日の目を見ることになりました。
これまでの起業家と違う点では、社会的問題解決に積極的に関わっていてることです。原子力発電に代わる核融合発電に投資をしていますし、政治的発言も積極的に行っています。起業家として、これまでになく地 に足のついた人物と思います。
【ひとり言】これまでの歴史を振り返っても、成功する起業家像はその時代に必要とされている人たちでした。スティーブ・ジョブズやジェフ・ベゾス、三木谷浩史は、ネット社会がスタートする前に起業して成功した人。今はネットの成熟期に入っていますし、個人の利益よりも社会への貢献が求められる時代です。当然求められる事業も、地域貢献や社会貢献できることが大事と思います。
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