現在は事業の好調な会社と不調な会社との明暗がはっきり分かれています。多くの会社が決算月となる今年3月期、20年以上に渡り経験しなかった物価上昇が起こったため、企業決算は相当悪化することが予想されていました。
蓋を開けますと大手企業で倒産する会社はほぼ皆無です。中小企業では、これまでと明らかに違う流れとなって倒産数の増加が続いています。この違いは物価上昇への対応よりも、円相場への対応ができた会社とできなかった会社との違いが大きいと思います。
円の為替相場は対ドルレートで、1995年4月に過去最高の79円75銭を記録しました。円の価値が高いと云う事は、日本経済が最も強固だった時期がこのころです。そこからどんどん日本経済は下がり続け、2013年のアベノミクスでは輸出に有利ということで円安政策を採用しました。
そして2023年6月現在144円まで下がっています。この20年以上に渡り日本企業にとっての有利なビジネスは、外国製品を輸入することよりも日本製品を輸出する方が、安定的で大きな利益につながるようになりました。
経済のこの流れを考えずに、30年前と同じビジネスを続けていては会社が倒産することになります。実際経営の厳しい会社の多くは、昔ながらのビジネスを何も考えずに続けている会社です。例え日本人相手のビジネスであっても、利益の上がることを考えるべきです。
今年の春130円頃の為替予測では、円は大きく円高に振れることが心配されていました。ただ当たり前のように円安になっていのは、やはり日本経済が弱体化していること。赤字国債がこんなに積みあがると、やはり円は安くしか振れないような気がします。
難しい経済理論を云々するより、長いあいだ物価安に賃金安、それに金利安が加わると、為替も円安になるのは必然と思われます。今では多額の赤字国債を抱えているため、物価上昇に対応するため金利を引き上げる余力もなくなっているのが日本経済の現実です。
事業を展開している人は軽快なフットワークで、軸足のビジネスを切り替えるしか手はないです。国と一緒になって経済大国日本の一員の気分で会社経営をしていると、まもなく基本認識の間違いを知らされることになりそうです。
ビジネスの歴史を振り返りますと、時代のニーズに応えられない会社は次々に消えています。これは起業する人がキモに銘じていなければならない鉄則です。164年前、ダーウィンは「種の起源」でも書いているように、人間が生き残るためには環境の変化に対応できることが必須条件になります。今でも、円高や人口増加、経済大国日本を信じている人は、頭を切り替えないと生き残れません。
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