現代は失敗することの少ない時代です。ちょっとでも悩ましい問題なら、事前にネットで下調べをして取り組むことで大きな失敗をすることがあまりなくなっています。ただ事前の想定とはまったく心配しなかったことが起こると、とんでもない事態になります。
昨年知床半島で起こった遊覧船KAZU1の海難事故。船舶免許を持っているとはいえ、素人同然の船長が春先の荒れた北の海を航行するなどまったくの想定していなかったと思います。今は、多様性の時代ということもあって、まったく予期しなかったことで台問題が起きます。
失敗学の世界では、この事前に想定できなかったところで失敗は起こると警告しています。自動車事故なら、追突事故や出会い頭の衝突事故を考えますが、今の時代はブレーキとアクセルの踏み違い事故です。以前ならあり得ない事故ですが高齢化社会では急増しています。
現状の福島原発事故の処理水でいうなら、日本中の眼はトリチウムの排出量にばかり目を向けられています。こんな時に注意したいのは、トリチウム以外の放射性物質を除去しているはずの他核種除去設備ALPSの存在です。
国民は東京電力が運用しているALPSは大丈夫と頭から思い込んでいます。ただ東電は、過っての日本の代表するピカピカの企業とは違い、現在はほぼゾンビ企業。再開を目指している柏崎原発でも、原子力委員会あから匙を投げられるほどの失敗の連続です。
とてもじゃないけど今の東電は、国家の大事を任せられるような会社じゃありません。福島原発の汚染水問題では、国民誰もが福島のためにも大丈夫と思いたがっています。ALPSの運用を東電に任せた時点で政府は大きな失敗を犯したような気がします。
セシウム137は半減期が30年、ストロンチウム90は28年、カドミウムやプルトニウムなど半減期や影響の長い放射性物質もALPSによる処理対象になっています。中国うんぬんよりも、日本国民の健康にとっても大きな影響を及ぼします。
福島原発事故から既に12年が経っていますが、原発事故の怖さは 事故炉のデブリ処理などまだほとんど進んでいないこと。今の政府の原発政策をみていると、次の新たな事故に向かって突き進んでいるとしか思えません。
最近やっと、各地の使用済み核燃料処理もほとんど進んでいないことが知られるようになりました。福島で事故が起こる10年以上前から、稼働していた原発では溜まりはじめた核燃料をどうするか問題は始まっています。そのころはまだ、六ヶ所の核燃料サイクルが稼働さえすると何とかなると思っていましたが、それも全て夢に終わり「夢のサイクル」は夢のままで終わりそうです。ただまだ夢をみていたい人がいるから困りもです。
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