金融不況が日本を襲った1990年代後半以降、失業者が急増し慌てて資格試験を受験する人が増えました。今も昔も、日ごろからビジネスの流れに関心をもたない人は、公的資格を取得することが生活安定の第一歩と思い込む人が多数います。
このとき資格試験用テキストと同時に、人気になったのが速読用の練習本です。会社の仕事と受験勉強とを同時に取り組むのは時間的に厳しいので、速読技術を身に着けると成果は倍増という触れ込みでした。高いCDを購入して訓練した人も多かったです。
ただ速読技術を身に着けても、資格試験にはほとんど役立たなかったと言われます。速読指導の資格者も増え、セミナーや講習会まで開催されるようになったのに、いつしか潮目が変わるように速読という言葉自体がビジネス関連の講座から消えました。
アメリカでも速読は話題になりましたが、能力向上にはあまり影響がないということで姿を消しています。結局文章を早く読むことができても、それが能力向上とは結び付かないことが問題です。単に早く読んで本の内容を知っても、実際のビジネスや試験には何の役にも立ちません。
速読を「郵政民営化」に置き換えてはどうでしょう? 2000年代初めの小泉内閣では郵便局を民営化することで、日本経済は大きく変わると主張しました。民間企業の日本郵政グループが誕生して16年経ちましたが、日本経済は何が変わったのでしょうか。
大阪では日本維新の会によって「身を切る改革」が叫ばれ関西は維新一色になりましたが、改革の結果何か変わったのでしょうか。保健所など出先を減らし、正規職員を減らし、大阪府の人口まで急激に減らした結果、何が新しく生まれたのでしょうか。
府民の税金が減額されたり、大阪が他の自治体よりも優遇されることは起きたのでしょうか。結局住民は政治的キャッチコピーに踊らされただけで、ほとんどメリットを享受することはないようです。コロナの死亡者数や人口減少をみるとデメリットの方が大きいとしか思えません。
今、日本社会には騙しが大手を振ってはびこっています。誰かが、個人や団体のために人を騙すことで利益を得ると、他方で利益を失う人たちが出てきます。これから事業をしようとする人なら、騙しには乗らないように日頃から警戒心をもつ必要があります。
日本経済は長年の政権による失政のおかげで、パイがどんどん小さくなっています。バブル後の1994年には、世界のGDP(経済成長率)の18%を占めていた日本が、現在は4%まで小さくなっていて間もなく3%になろうとしています。特権をもつ世襲議員が増えるに従って、非正規の職員の比率は上昇しています。この歯車の回転を変えないことには、日本経済のパイは大きくなりません。
人気ブログランキングへ