米国発のアメリカンジョークが好きです。その中に「歩きながらガムを噛めない元大統領」の話があります。足の運びを左右に出して歩くことと口の中で上下の歯を動かしてガムを噛むことの、2つを同時にできないほどに不器用な人の象徴としてよく使われるフレーズです。
明日は文化の日で、今年も秋の叙勲のシーズンがやってきます。よく言われることですが、名人や名工と言われる人の多くに不器用な人が少なくないです。若いころは仕事が下手なためよく怒られ、何時辞めようかばかりを考えていた名人の話をよく聞きます。
生まれつき器用な人は、どのような仕事についても器用にこなす代わりに、一つの仕事に飽きるために長続きしないといわれます。不器用な人の場合は、何時までも飽きずに取り組むことができるため、特技ともいえるような強い意志があります。
この不器用な人たちから、勤める会社でパワハラに遭うことがあって、会社を辞め起業したいという相談を受けることがありました。仕事の成果がなかなか上がらないため、会社の幹部や上司からパワハラまがいの圧力を受けたようです。
このような場合いきなりの起業が良いか悪いか判断は難しいです。仕事の対応に不器用な人は、起業しても独り立ちするまでに時間がかかります。ただ起業して大成するのはこのようなタイプ。創業者として人気のニトリ似鳥昭雄社長などはこの典型的な一人です。
似鳥社長が上手くいったからといって、不器用な人の誰もが起業して成功する保証はありません。この場合大事なことは、自分の能力や特性をよく熟知した上で勤めを続けるなり、起業に向うかを判断することが大事です。
単にパワハラから逃れることばかりが目的で起業しても、上手くいくはずがありません。とは言っても、パワハラで追い詰められ最後は自死を考えるようなことになってもたいへんです。パワハラと起業とは別ものとして考えるべきです。
わたしが年齢を重ねて判ってきたのは、飽きずに一つの仕事に持続して取り組むことのできる人は強いです。若いうちは器用な人が重宝がられますが、50歳あたりからは不器用な人が、器用な人を使うようになりますからこの世も捨てたモノではありません。
長く生きていていると分かることですが、意外と世の中平等なような気がします。若いころからやり手でバリバリ事業をしていた人が、病気で倒れてしまったり。仕事では能力を発揮できなかった人が、60歳を過ぎてから住んでいる地域のリーダーとして活躍したり。そこで感じることは、人間どこにいても面白く生きないと人生がつまらなくなるということ。起業ばかりが人生でないので、何が自分に適しているのか考えることです。
人気ブログランキングへ