日本の株式市場は米国の史上最高値を好感して連れて上昇しています。また中国経済の不振を嫌う資金も集まって、1989年のバブル期以降では最も高い日経平均株価を記録しています。新NISAに加入する資金も集まっていますから今は大変な盛り上がり。
その一方で大手上場企業は、これまで発行し続けた自社の株式を買い戻す自社株買いを進めていて、23年は約9兆6千億円にも達しています。その目的は、発行株式数を減らすことによって株価を引き上げ、株主の含み益を増やすことにも貢献できます。
背景には、企業収益が大きくなり過ぎて企業が持て余していること。最近は内部留保が大きくなると社会的批判が強くなります。マスコミも企業の自社株買いには寛大で、株主に対する利益還元として評価しています。
ただ企業と株主の間での資金のやり取りは、国民の間の格差拡大につながるだけで、日本社会には何も貢献することにはなりません。本来なら企業は自社の利益を活用して、新たな商品やサービスの開発のために使うことが企業の使命のはず。
日本社会全体のダイナミズムが失われている原因として、企業が利益を上げることには熱心ですが、その資金をどう使うか全く考えていない点にあります。一部の企業を除くと、大半の日本企業は新たな企業展開には無関心になっています。
他方で日銀と政府は、ほとんど高まらない資金需要にも関わらず、いつまでもマイナス金利やゼロ金利を続けています。多分政府にしても企業にしてもこの先の目標を失っていて、ただただ潤沢に資金があることだけを心の拠りどころにしているとしか思えません。
ここで大事なことです。日本においては企業が大きな利益を上げることが、日本社会を豊かにするというツインクルダウン理論は既に破綻しています。今の政権のように、企業から献金を貰うために企業支援を続ける政策は国民にとって利益にはならないようです。
【ひとり言】
政治家が「オールジャパン」とか、「心を一つに」などと云う時は気をつけた方がよいです。ほとんどは国民への犠牲を強いるもので、あまり国民のためにはなりません。会社勤めをしている間は会社の方針に従うしかないですが、辞めた後は企業の側に立った考えに偏らないことも賢い生き方です。
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