日経平均株価が34年前の最高値を更新したことで、この国には何となく明るい日差しがさしてくる気配を感じている人が多いようです。自分もその昔バブル経済のときは、日本が米国経済を追い抜くかも知れないと思っていましたから、株高には錯覚させる効果があるようです。
当時を思い出しますと、バブルで日本経済が急成長していたとはいえ、現実には米国政府から個人消費を増やすよう盛んに政策変更を迫られていました。日米間の貿易不均衡により米側の不快感は頂点に達していた時期で、まさに貿易戦争といえるほど緊迫していました。
最高株価が下降を始めた1990年代に入っても、大半の国民は調整期間が過ぎると再び株価も地価も上昇すると思っていました。80年代後半の5,6年の間に起きた株と土地の上昇が、バブル経済なんて思った人はいなかったと思います。
大半の国民がバブル経済の言葉を知ったもずっと後のこと。海外から指摘で初めて理解した人がほとんどではないかと思います。同時にバブルに踊ったこの時代から、国際問題でも国内の難解な問題でもカネをばら撒いく習慣が生まれて今に続いていると思います。
人口減少、技術革新、企業の設備投資のどれをとっても、バブル時代には手が打たれていません。いくら株価や地価が上昇しても、その資金が実体経済に流れて生産性向上へとつながると経済の質は変わるのでしょうが、実際は公共事業ばかりに頼るのがバルブでした。
2月22日日本のメディアは「日経平均株価 最高値」の報道に湧きました。今回は、今の株高がバブルかも知れないと考える人もいます。大都市圏での地価上昇にも警戒する人も増えていますし、購入している人の多くは投資目的とも言われます。
上昇した価格は、どこかのタイミングで下降するのが自然の成り行きです。絶対に上昇ばかりが続くわけはありません。絶対権力の中国においても同じ現象が今発生しています。35年ほど前にわが国で起こったバブル破裂がまた起こる可能性がないとは言えません。
現在の株式相場が信用できないのは、一つには外国投資家が主力となって買いに走っていること。これまで中国市場に投資していた機関投資家を中心に日本に資金を移していると言われます。また今年から始まった新NISAを利用した新たな日本の投資家も多数参加しています。どちらも市場の流れが売りに変わると、我先に売り抜けようとしますからとても不安定な相場です。前回のバブル同様に、短期的な上昇は下がるのも早いです。
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