34年振りに東証平均株価が過去最高値を更新したことで、日本経済までが明るくなった気がします。今年1月からは新NISAがスタートし、証券市場に関心を持つ人が各段に増えています。世界的にも、長年不調だった東京市場に関心が集まる時期でした。
ただ株価は、人気を集めるからいくらでも上昇を続けるものではありません。34年前、日本がバブル経済に沸いたとき、日本は米国を抜いて世界最大の経済大国になると信じた人も大勢いました。でも金融市場はそんな単純な仕組みではできていません。
よく「お金がお金を生む仕組み」という言葉があります。債券市場では、国債を購入して売るときに得ることできる金利分のお金がこの生む仕組みです。基本となるのは10年物国債で現在は0.7%程度の金利がついています。
一方証券市場でもお金を生むことができて、この場合は株価上昇益や配当益から計算します。現在株式の益回りは6%程度とされ、わが国の資金の流れは株式市場ばかりで債券市場は不人気です。金融市場としてはたいへんいびつな状態です。
日銀が長いことゼロ金利政策をとってきたのは、民間の資金需要に応えることにありました。同時に、大量に発行している赤字国債の金利負担を減らすことでもありました。今後は赤字額がますます増えますから、簡単には金利を上昇させるわけにはいきません。
そうなると、金利と株式益とのバランスをとることは大変難しいことになります。米国では、FRBが金利の引き下げを議長が匂わせると株価が上がり、金利維持を発言すると株安を招く展開が続いています。一定のルールの中で投資先の選別が行われています。
日本は日銀法で禁じている赤字国債の発行が膨大になり過ぎ、インフレへの対抗策としての金利引き上げさえできなくなっています。過去にこんなに赤字国債を発行したのは、戦時中を除くとどこの国も経験したことのない状態に入っています。
金利引き上げのできないなかでの金融や財政政策は、相当ゆがんだカタチの財政運営を強いることになります。今後この国がどのような国家になるのか予断を許さないことは確か。自民党が政権を維持するために、あまりにも借金に頼り過ぎたことは確かです。
日本から世界をみると、過去何十年も同じ世界に見えますがよく見ると変わってきています。ヨーロッパ各国は、ウクライナとパレスチナの2つの戦争が間近で起こり経済は麻痺しています。燃料や作物の値上げだけでなく、ウクライナ支援など負担も増えています。米国民には、中国発のコロナ感染で100万人が殺されたとする恨みがあります。日本は世界とは別の社会に生きているような危機感が希薄な気がします。
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