「今の時代、お客さんのニーズが色々多すぎてビジネスがとても難しい」という台詞をよく聞きます。特にコロナ禍が収まって以降、国民の生活様式が変化したのか、コロナ前の消費を忘れてしまったのか、何を求めているのか分からないと経営者は嘆いています。
一つの考え方として、コロナが流行してから国民はSNSなどネットを通じて知りうる情報が格段に早くなりました。日頃のニーズに関しても今起こったことは瞬時に広まるようになりました。そして誰もが直ぐに同じビジネスに着手することになります。
唐揚げが売れてるとなるとわっと飛びつき、今はおにぎりとなると誰もが開業を考える時代です。結局誰もが、ネットを通じ同じ情報を知ることができます。そのうえ、似たビジネスの開業方法までネットにアップされる時代なので、皆が同じ方向を向きがちになります。
先日前衛舞踊家の田中泯さんインタビューの話を聞いていて、彼が何故踊るのかを知りました。人間が言葉を通じて意思疎通をするようになってまだ数千年の歴史しかない。それ以前、人間は身体の表現を通じてしか他人と意思疎通はできなかったはず。
舞踊はその身体を通じた表現を現代も続ける動作。だから舞踊をみて笑うのもいいし怒るのもいい。一人ひとり感じ方は違っていいはずという内容でした。わたしはあの前衛芸術と云われる舞踏、舞踊が苦手でしたが、何となく頭ではなく身体で感じる方法と理解しました。
この簡単には現代社会の分類法には馴染まない表現が、今の社会では歓迎されるような気がしました。メイジャーリーガーの大谷選手にしても、将棋の藤井聡太さんにして、従来の分類には収まらないはみ出したところにいる人のように感じています。
従来のカテゴリーには収まり切れないというと、小売りのドン・キホーテもディスカウントストアとか総合小売りとか冠が定まりません。ただ他には売っていないモノを期待してお客さんは集まってきます。そしてドン・キホーテにはライバルはいません。
田中泯さんはインタビューの中で、どんなカテゴリーにもハマらない踊りは、全く需要がなくて食べていくのがたいへんと言ってました。映画「たそがれ清兵衛」以降映画やドラマによく出演してますが、それ以前は山梨での農業が飯のタネと言ってます。現在もこの農業は続けていて、言葉でコミュニケーションを取るまでの時代と同じことを生活手段としています。何かしら発想を変えないと、今の時代人と同じカテゴリーの中で生きていくのは相当厳しそうです。
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