日本は国土全体を海に囲まれ、水産資産に恵まれた国と云われてきました。現実は、水産品の生産量がこの40年の間に7割近く減少しています。食卓に水産品の並ぶことが減り、もっぱら寿司や日本食料理店で高価な魚介類が並ぶ光景へと大きな変わりました。
また貿易統計をみると、水産国日本のはずが水産品に輸入額は2兆円を超え世界第2位の輸入国です。しかもこの金額は、近年の円安が響いてますます膨らむ方向へと進んでいます。世界的に水産品は食料としても注目が集まっていますから、日本が中国にマグロを買い負けるなんてことも起こっています。
ただこのまま食卓から水産品が減っていく状況でよいのかといいますと、日本の食料自給率を考えますとそんなわがままの許される環境ではないです。カロリーベースでは38%と云われていますから、田畑を増やすか、漁獲を増やすか何かしら策を考える時にきています。
わが国は人口減少も国を挙げての大問題です。同時に食料自給率を引上げなければ、せっかく増やした人口も餓死することになります。10年ほど前までは、1ドル=110円程度の為替水準でしたから海外から輸入する余裕がありました。今は160円に近いほどの円安です。
鮭やマグロなどの輸入のとき、産地で競り落とすときに今の円安ではシンガポール、米国、韓国などのバイヤーに負けることが多くなっています。今後ますます円安は進行する気配です。そうなると輸入に頼らず国内で漁獲を増やすしか、外貨を減らさず食料自給を高めるための方法はありません。
今はまだ切羽詰まった危機感を感じませんが、この流れは今後の日本を考えると必要なことです。日本国民がいつまでも経済大国気分で食事が摂れる時間も長くはなさそうです。新たなビジネスをこの分野に求めることも、決して悪くはなさそうです。わが国にとって食糧問題は喫緊の課題ですから。
自国が落ちぶれていることを知りたくない国民感情は分かります。ただ国家を運営する政治家が気づいてないとそれは悲劇です。現在の国の借金にしても、当初は直ぐ返せると思っていたようですが、今となってはほぼ返せないレベルにまで膨らんでいます。この先、インフレが進むことで減らせると思っている人が増えているようですが、国民にはたいへんな負担になります。今の感じでは、粛々と物価上昇が進み借金額が小さくなるのを待っているようです。
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