駅周辺の商店街をウォッチしてますと、コロナ流行により一時閉じた店舗は、過ってのように直ぐ開店というわけにはいかないようです。閉じたままだったり、場所によっては建物を壊して更地になっているところも多いです。特に飲食店だった店舗の再開は難しいようです。
23年にラーメン店倒産が63店にも達して話題になりました。信用調査会社が対象にしている倒産は、負債総額が1千万円以上の大規模ラーメン店だけです。規模が小さい店舗の倒産や自主廃業を含めますと、全国で相当数のラーメン店が昨年中に店を閉じています。
昨年企業物価上昇率は2.3%プラスでしたが、22年の9.5%プラスは店舗経営に大きく影響しています。麺の材料の小麦から、チャーシューの豚肉、野菜、もやしなど、「この1、2年で値上がりしていない料はない」というほど、食材は上がりが続きました。
また店舗営業には欠かせないアルバイトの人件費も、食材費に負けずに上がりつづけています。今はどこのラーメン店のバイト賃金も、ネット広告を出すたびに公になってしまいます。10円でも安いと他の店舗に獲られますから、常に高いバイト料を提示し続ける仕組みができてしまいました。
そんな弱り切ってるラーメン店に追い打ちをかけるように、7月からは新紙幣が発行されました。従来の券売機を改修する必要があります。1台あたり20万円以上の費用がかかることになります。ラーメン店に限った話しではないですが、投資した資金が売上げに寄与しない出費はほんとに痛いです。
その上にのしかかるのが、ラーメン業界ではいつも話題になる「1000円の壁」です。他の飲食と違いラーメン店は競合する店舗が多いため、料金を1000円に値上げすると客足はぱったりと減ると云われます。そのため料金に天井ができてしまい、おのずと店の収益にも天井ができることになります。
こんなラーメン店なら開業は難しいと思いますか。実はラーメン店限界説が広まったため、今開業を考える人は減っているようです。開業する場所によって環境は変わるのでしょうが、本気で取り組むことを考える人にとっては追い風かもしれません。ビジネスはそんな風に考えた方がよいです。
本気で開業を考える人にとって、世間の風潮や景気の具合などはあまり関係がなさそうです。ただどんなに意思が強くても、景気循環や開業のタイミングを合わせることは難しいですから、時期をずらすとか規模を縮小するなどテクニカルな修正は必要です。どうしても成長できるときと、縮小を食い止めるときはあります。流れに逆らうことはしないことです。
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