米国中央銀行FRBのパウエル議長は、9月の政策決定会合で金利引き下げの実行を公言しました。2022年3月インフレ対策で金利引上げをはじめてから2年6カ月ぶりに、「政策を調整すべき時が来た」と引下げを発言したのです。
米国のコロナ感染では22年5月までに102万人が死亡しています。この時インフレによる大変な物価上昇が始まり、22年5月に8.6%、6月には9,1%まで消費者物価は上がっています。その後は徐々に下がりましたが大変な経済ダメージがありました。
このインフレでは、パウエル議長がインフレ発生を軽く考えた節があり強い批判を浴びました。今回の金利引き下げに関しても、これまで何度も議長は引き下げを匂わせています。それでも発言を続けるのは国民への周知があると思います。
利下げにより、企業の設備投資や個人消費は増えると予想されます。為替はドル安に転じることで、円は高くなるはずです。ただ問題は、インフレがしっかり抑制されるかどうか。物価目標とされる2%で収まるとよいですが、再び物価上昇が始まると目も当てられません。
日本では黒田日銀総裁の時代、「異次元の金融緩和」を実現するためいきなりゼロ金利政策がとられました。金融市場の流れなど無視した政策ですから、日本経済に大きな歪みをもたらしています。現在も、この時の影響で金利を上げられない事態が続いています。
7月末には現在の植田総裁が「経済・物価の見通しが実現すれば、引き続き金利を引き上げる」と発言した途端、証券市場では史上最高の4451円安の大暴落が起こっています。米国ではFRBと証券市場や国民との間で会話が成立しています。
一方日本においては、日銀と市場や国民との間に会話は成立していません。大体日本政府が1千兆円にも達する赤字国債を発行し、その半分近くを日銀が引き受ける事態なのです。米国の金利引下げとは2周遅れの金融政策を進めていることになります。
しかも日本の場合は、株式会社日本銀行が大量の赤字国債を抱えていることで債務超過に陥る心配があります。政府が発行する国債に対する格付けが投資不適格に引き下げられる可能性も。財務省が次年度の国家予算を組めなくなる心配さえあります。
後年、日本が弱体化してその原因を振り返った時、安倍、麻生、岸田といった世襲政治家が自民党政権で権勢をふるっていたことを考えると、弱体化は当然の帰結という結論がでそうです。世界的に環境の悪化とIT技術の進化と米中対立とが絡み合うなか、日本の権力者はあまりにもしたたかさに欠けていたと言えそうです。もしかすると彼らの政治的な目的が、自分の家を守ったり、自民党政権を続けることなどで、日本国民のことなどまったく考えてないのかも知りません。
マーケティング・経営ランキング