兵庫県知事のパワハラ問題が公になってから「公益通報制度」はすっかり有名になりました。役所や公的機関ばかりでなく、会社内においても不正行為を発見した社員は報告することができます。「公益通報者保護法」は勇気をもって通報した人を守る法律です。
現在従業員数が301人以上の会社には、経営陣から独立した通報窓口の設置が義務づけられています。通常、社内の不正行為を発見した社員は、上司を通じて経営者に情報が上げられる仕組みがあります。このルートは別の通報窓口です。
不正会計、ハラスメント、違法労働、リベートの受領など会社内には、不正行為を起こそうとするといくらでもその種は転がっています。兵庫県庁の中には、民間企業で発生した不正行為の通報を受け付ける窓口があるといいますから皮肉な話です。
昨年から自動車業界において発覚している、各種データの不正改ざんの多くは公益通報で寄せられた情報が発端となって発覚した不正と言われます。今はこの公益通報制度のあることにより、生産現場における不正は大幅に減っているようです。
今から10年前、内部通報数の多い会社のランクでは第一位のセブン&アイ ドウシシャ 明治安田生命 NTT 損保ジャパン IHI ヤマト カルソニック アイシン LIXIL までがトップテンとされていました。
それが23年には 日産自動車 スギ薬局 アイシン セブン&アイ 日立製作所 パナソニック ヤマト イオン ファーストリテイリング(ユニクロ) AGCまでがベストテン。これが社員100当たりの件数となると、エーザイ ゴールドウイン オリンパス となります。
公益通報では紅麴で注目を集めている小林製薬は8位に入っています。兵庫県ではほとんど通報がなかったようですし、通報の多い会社は通報しやすい会社ともいえます。セブンやヤマトのように常連の会社は、問題がありそうな気がします。
東京電力、東芝、日産自動車、オリンパス、最近ではビックモーターなどのように会社の存続にかかわる大問題を起こし、その後経営が厳しくなっている会社にしたら、公益通報で不祥事が早く公になっていた方が会社は救われたと思います。今は株主からも嫌われて他社から買収される対象になることもあります。ITが普及して誤魔化しは隠し切れない時代ですから、公益通報を味方にする気持ちも大事です。
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