日本の経済は20世紀までに強力だった製造業の力が衰え、今は日本ブランドの食文化が世界から持てはやされています。インバウンドで多くの外国人が日本食に接することで、今度は日本から海外に向かって消費されています。ラーメン、寿司、日本食、お酒など、今では次々に世界各地で日本食店が開店しています。
特に今話題になっているのは納豆。これまでにも多くの日本食が海外で紹介されてきました。ただ納豆だけは、その臭気やベトベト感からムリと言われてきました。中国、韓国、タイなど発酵食品を常食している国なら大丈夫ですが、その他の国で納豆を定着させることはできないはずでした。
ところがインバウンドで来日した人たちを中心に、納豆を食べる人が今急に増え続けているといわれます。アメリカやヨーロッパで日本人相手の食料品店で納豆を買う現地人人がでてきています。海外でも臭いのきついチーズを食べる習慣はあり、納豆と同じチーズも発酵食品の一種です。
考えてみますと、ヨーグルト、パン、チーズなど西欧にも発酵食品はあります。古くから海外の食料品店においては醤油が広く売られています。ついでに生卵やネギ、辛子が添えられますと日本の食卓と同じように納豆が食べられることになります。ますます日本食はどこの国でも売れるようになりそうです。
日本食が海外で食べられることは喜ばしいことですが、一方で次第に日本人には手の届かない日本食ということにもなりかねません。良い例がどこの家庭の食卓によくのるタコ(蛸)です。タコ焼きでもお馴染みですが、今はお安い食材ではなくなっています。
最新の相場ではタコ1キロ当たり高値で3500円。真鯛2700円 サンマ2900円 カキ(牡蠣)3000円ですから、もう庶民のタコとはいえなくなっています。英語ではデビルフィッシュと言われ気持ちの悪い魚類の代表でした。
それが今では、日本人には手の出ない魚介類になりつつあります。納豆も広く食べられると、今度は経済も通貨も弱い日本では材料が買えない事態も起こります。今後は自分が食べることよりも、製造したり販売したり日本食を作り流通させる立場になって関わるしかなさそうです。
産業革命が発祥した土地イギリスは、その後経済の衰退によって汽車の製造も自動車の生産も減少が続きます。日産は1位、ジャガーランドローバーが2位、BMWが3位、トヨタ自動車が4位です。国の経済力が小さくなるに従い、自国メーカーの生産はどんどん小さくなっています。日本もインバウンドに頼っていると、経済のパイはますます小さくなっています。納豆の製造もこの先小さくなる可能性は高いです。納豆よ永遠であれと叫びたい気分です。
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