アメリカでトランプ氏が再び大統領に返り咲くばかりでなく、世界の景気は不況の大きな影に覆われています。コロナ感染によるインフレ対策で多額の救済資金を各国は投入し、その資金回収のため金利を引き上げました。今はその反動で不況色が濃くなったため金利引き下げをして景気を引き上げようとしています。
日本に住んでいると、あまりに長期に渡って金融緩和を続けたため、世界の景気がどっちの方向に向かっているのか多くの国民は感覚がマヒしています。現在はやっと物価上昇が続いていますが、まだインフレへの対応は感度が鈍いように感じます。早く頭の切り替えをする必要がありそうです。
日本の上場企業に収益は、25年3月期に純利益がプラス2%になると予測が出ています。22年3月期から4年連続で過去最高益を記録することになります。こういうニュースに接すると、日本経済は好調のさ中のような錯覚を受けがちです。内実は金利がマイナスからプラスに引き上がり利子が増えているだけです。
単に金融関連の会社の利益が増えているだけで、デンソー、ホンダ、日本製鉄などの業績は下方修正しています。これから製造業やサービス業などは厳しい経営を迫られることになりそうです。そのなか今後の起業で注目したいのは建設業です。日本の建設や土木は転換点を迎えています。
帝国データバンクは先日、日本の建設業の倒産が過去10年で最多のペースに陥っていると発表しました。24年1月~10月までに1566社の倒産を記録しています。負債1千万円以上の中堅企業が対象です。その原因は大半が職人の不足。元々日本の建設業は高齢化が進んでいて、この事態は以前から予想されていたこと。
人手不足からくる人件費高騰が建設会社の経営を圧迫していますし、他方で建設資材の値上がりが影響して建設発注量も減ってもいます。この状況が続きますと建設業界の倒産は今後長引きそうです。建設需要は景気とは関係なしに一定数は確実にありますから、この先建設会社の不足が心配されることにもなります。
日本人の労働者が増えない場合、将来的には外国人労働者に依存する可能性も高いです。現在でも、建築物の解体工事では大半の労働者は外国人です。また現在よりも一層建築の機械化は進むことが予想されます。人手不足対策に成功した新たな建設会社がこの国の建設土木業界を支えることになりそうです。
建設・土木と運送業界は、この国では最も古い時代から存在する業界です。そのため政治とは密着した関係にあって、選挙があるたびに寄付や人的な協力を惜しまない業界でもあります。ただ政治団体も建設業界も古いカタチで政治とは関係を持っていて、古い価値観から企業の政治支援は続いています。そのため日本の建設業界はなかなか新たな技術を導入できません。そろそろ政治とは縁を切り、新たな技術を売り物にした建設会社の登場が待たれています。
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