トランプ次期米国大統領が、隣国カナダとメキシコに25%の関税を課すと発表して世界をびっくりさせました。前回2016年にも、米国への不法移民を許すメキシコへの関税を課すと言っていましたが、この時は準備不足ということもあったようで、言い出したままで終わっています。
今回は4年間の準備期間を置いての発表ですから単なる脅しではないようです。トランプ氏は自分をタリフマン(関税男)と言っているように、知識の浅い外交に関して関税を武器にして米国に利益を誘導させる方針です。それが貿易赤字を減らし、米国を再び偉大するための彼の手段です。
確かに輸出する側の企業にとって関税を引き上げられることは、米国企業との価格競争にとって不利です。ただ過去何十年にも渡って中国製の日用品やメキシコ製の自動車部品を買ってきた米国の消費者やメーカーです。いきなり価格を引き上げられても、結局はそれを買うしかない商品や部品、製品も多くあります。
結局米国が関税を引き上げることにより、インフレの発生を心配する声が高くなっています。トランプ氏自身が経済人とはいえ、実際には不動産屋のおっさんの発想で取引により経済を動かそうとしています。対抗策としてカナダやメキシコ政府も関税引き上げを主張しますから、今度は米国の輸出企業の業績に影響がでます。
しかも米国での自動車製造にしても、膨大な数の部品に関してはカナダやメキシコで製造するサプライチェーンが確立しています。米国からの自動車輸出にも大きな影響を及ぼし、トランプ氏の蒔いた種は米国メーカーの経営不振につながることも心配される事態を招きそうです。
このようなマイナスばかりでなく、米国企業が保護されるプラスの一面があることも確か。関税によって米国政府の税収が大幅に増えることも間違いありません。トランプ氏としては、対米貿易をテコに外国とのすべての交渉を有利に進めようとする下心も読めます。
結局日本国民として考える必要があるのは、この関税政策の結果米国やその他の国々はどうなるかです。まず米国経済は、企業と個人に対する減税と環境問題に対する規制緩和により、景気が上昇することは間違いなさそうです。問題はこの好景気がいつまでつづくか、インフレが進む可能性も高いですし貧富の差が拡大して社会の混乱は高まりそうです。
最近トランプ氏の分析がよく行われ彼が大統領就任に固執する目的は、自身のトランプブランドの価値を高めるためとするのが最も的を得ているようです。決して国民のためとか米国国家のためということは考えていないと思われます。しかもこの先には、大統領職の任期を伸ばすことやノーベル平和賞受賞を視野に入れているともいわれます。どちらにしろ同盟国日本にとっては厄介な大統領であることは確か。あまり米国にしがみ付いていると、日本をますます貧しくさせるだけです。
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