コロナ感染が終息して以降、ビジネススタイルに変化がでています。今年の正月は百貨店やスーパー、小売店などは正月営業を取り止めるお店が相次ぎました。お客さんが少ないというよりも、働き方改革の一環で長時間労働が問題視され、会社側が無理して開店しない方針を打ち出したためです。
各地の都市の中心地にある大型店が休業したため、その周辺にある飲食店や小売店なども正月営業を止めるケースが増えました。このように玉突き式に休業連鎖が各地で、色んな業種で起こっています。そのなか医療機関の経営に異変が起きています。昨年、東京都内の病院の半数が赤字経営に陥っていることが判りました。
他の業種とは違い、病院は国民の健康を直接維持するためその存在が不可欠な施設です。そのため医療費適正化計画に基づき、全国の病院が黒字経営を続けるために厚労省は細心の注意を払って政策作りをしています。そのなかで半数の病院が赤字ですから、厚労省は何をしているのかということになります。
20年から全国的に感染の広まったコロナは、国がほぼ医師会側の要求を受け入れ感染拡大の阻止に全力をあげました。この時の国の対応には色々意見もあると思いますが、何とか23年には一応の収束が実現しました。ところが都内の病院では、患者数が19年のコロナ前の状態まで戻っていません。
また30年近く続いたデフレ経済のために、病院施設は老朽化がどんどん進んでいるようです。しかも23年に経済はインフレが始まりましたから、今度はスタッフの人件費が急に上昇しました。物価と人件費との上昇がはじまりましたから、病院といえども経営は急速に悪化が続くことになりました。
似たようなことは日本政府の財政でも起こっています。コロナ前の19年度予算は、101兆4千億円、補正予算は3兆2千億円です。これがコロナ後の24年度には、112兆5千億円。補正が13兆9千億円。合わせると、19年度104兆6千億円が24年度126兆5千億円とこの5年の間に21%も増やしたまま。
コロナが収束しても国の予算を元に戻すどころか増やし続けています。予算を増やした原資は国の赤字国債に依存しています。企業経営においても、事業が好調なときに大判振る舞いをすると、その後の不況時にあっけなく経営不振に陥ります。日本財政もこの先に待ち受ける災害や不況の時には、虚弱体質であることを知っておくべきです。
企業の経営体質は、小企業が弱くて大企業が強いわけではありません。売上高は少なくても、不況に強い小企業がある代わりに大きい企業なのにあっさり倒産するケースもあります。意外と気づかない経営者が多いのは、何事にも最大利益ばかり求めている経営は不慮の出来事が発生したときに弱いです。優秀な人材ばかりを集めた会社も、問題発生のときには優秀な人間ほど逃げ足の速いことを認識すべきです。
マーケティング・経営ランキング