いよいよ1月20日(月)には米国・トランプ大統領が再登場します。今はデンマーク領グリーンランドの領有やパナマ運河の管理など、あれこれ国際問題に口出ししています。トランプ氏のこれまでの行動を考えると、大統領就任後の対外交渉を有利に進めるために相手へのプレッシャーを与えることに専念しているとも思われます。
2017年の時は本人もまさか本当に当選するとは思っていなかったと云われ、場当たり的な対応が多かったようです。今回は4年間しっかり準備をしての大統領就任です。前回のように副大統領と対立したり、何人も政府要人を交代させることはなさそう。トランプ氏に忠誠を誓う人だけを集めた閣僚です。
また多くの要人は過去に不祥事を起こしたことのある人。問題のある人を多く味方につけるのは相手をコントロールできるからです。この点は安倍晋三首相とそっくりな考え方です。そのためトランプ氏は権力を一人で牛耳ろうとするパーソナリスト独裁者といわれます。
移民やLGBTQが国家と家族とを脅かすと主張し保守的な国民の支持を受けて大統領になりました。ただ大統領就任を前にして、トランプ支持者の間に大きな亀裂が発生しています。トランプ氏が個人的アドバイザーとして、EVメーカーテスラ創業者のイーロン・マスク氏を政府効率化の要人にする予定とされています。
マスク氏と同じように、米国への移民から成功しているインド系のスリラム・クリシュナン氏を上級政策顧問に指名しました。この人事に対し MAKE AMERICA GREAT AGAIN (MAGA) を支持する団体から、移民を起用することに反対の声があがりマスク氏との間で対立が起こっています。
今アメリカには、科学技術で先端分野を支えるSTEMといわれる技術職人材の19%を外国出身者が占めています。インド人や中国人、日本人もこの中に入りますが、アメリカ経済や教育、学術分野で欠くことのできない人材です。ただこの人たちは米国人より安い給与で働くため、MAGAにとっては目の敵になっています。
トランプ大統領にとっては、この支持者内での対立は最も頭の痛い問題と思われます。その反動もあって、対外的には次々と難題を打ち上げていますが、けっこう厳しい立場にあることも確か。ご高齢なのであまり問題を抱えすぎると、自滅する心配もありますから就任後のご活躍が楽しみです。
【ひとり言】
2016年の最初のトランプ当選の時には、いち早く日本の安倍首相がNYのトランプタワーにはせ参じて話題になりました。今もトランプ氏が安倍元首相に恩義を感じているのは、日本の首相がトランプ氏を訪問したことで各国の半信半疑だった首脳にトランプ詣での流れを作ったことです。一つ間違うと、誰もトランプに敬意を払わないこともあり得たから。今考えると、無視することも必要だった気がしています。
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