その昔、定年退職して一線から退いたサラリーマンが、自宅の離れにプレハブ小屋を建てそこで学習塾を開く人は大勢いました。その後はビルの一室を借りるなどして、そこでも学習塾を開いたものです。ただ最近は、個人が開業するケースはすっかり減りました。
逆にコロナ感染が流行した以降は、学習塾に対しこれまで経験したことがないほど逆風が吹いています。全国で学習塾の産が増え続けて、コロナが収まった一昨年以降も減りません。負債総額1千万円以上の中堅の学習塾を対象にしていますが、倒産数は53社、休廃業・解散は195社にも達しました。
わが国では長いこと少子化が進み、学習塾経営は厳しくなると予測されてきました。ただ子供の教育費も家計では聖域とされ、子供の減少に比例して塾の生徒が減ることはありませんでした。それがコロナ以降は、聖域のまま子供を塾に通わせることが厳しくなっています。
一方で物価上昇と同じように授業料を引き上げることは難しいです。過ってのように、高校や大学の合格率の良さがそのまま生徒集めに反映しなくなっている事情もあります。今後の学習塾経営がますます厳しくなる覚悟をする必要がありそうです。
しかもこの10年ほどの間に、学校の授業科目も大きく変わっています。小学校で英語授業がはじまり、プログラミングも教科になっています。今は独自で塾を立ち上げるよりも、フランチャイズの熟に加盟する方が安い費用で生徒も多く集められると言われています。
今フランチャイズ加盟で注意しなければいけないのは、コロナ感染の収束と時期を同じくしてわが国でインフレが発生していることです。デフレ時代の20年位前からはテコでも動かなかった物価が、一昨年あたりからどんどん上がり始めました。インフレを抑えるためには、日銀の政策金利の上昇が欠かせません。日本の経済環境はこの2年ほどで大きく変わりました。このような時期、経済判断を間違えると大きな負担を背負うことになります。
マーケティング・経営ランキング