ゼンショーが展開している「すき家」の店舗で、提供した食べ物にネズミやゴキブリが混入していたことで大騒ぎになっています。味噌汁のネズミが入っていたと云いますから、飲食店営業としてはこれは事件です。全国全ての店舗の営業を取り止め、まず店内清掃に踏み切りました。
「すき家」は10年以上前、店舗運営を一人だけの従業員が担当するワンオペ営業が問題になったことがあります。24時間営業を売り物にしていましたが、真夜中の強盗事件が度々発生したことで社会問題化したこともあります。
牛丼大手3社の一角ですが、吉野家のように牛丼だけでなく豊富なメニューが売りです。しかも原材料調達から製造、加工、物流、販売までを本社の一貫管理による垂直統合モデルが売りでした。ただ何かと問題も起きやすく、本社の一元管理システムが果たして最良なのかどうか悩みとなっています。
一方同じ24時間営業で話題の会社といいますと、パン・パシフィック・インターナショナルHD が展開する「ドン・キホーテ」があります。創業した1989年以来35期連続で増収増益を続ける優良企業。こちらも24時間営業ということで、以前は深夜の騒音が周辺で問題になっていました
最近はあまり聞かなくなり、もっぱら国内小売り第4位の2兆円企業の話題ばかりです。セブン&アイ、イオン、ユニクロに続いてドン・キホーテが第4位で2兆円企業になりました。従来の会社の格からいうと、ヤマダ電機やウエルシア、ローソンの方が上のように思われますが、ドンキは強いのです。
その原動力はドンキ独自の権限移譲システム。吉田社長をして「自分には仕事がない」と冗談をいうほど、現場業務の決定権は現場が握っています。仕入れ、陳列、値付け、販売は全て現場スタッフに任されています。社員ばかりでなく、バイト、パートまでが仕入れ量を決め、店内POPの文案を考えます。
店舗の売上げ実績が報酬に反映される人事制度を採用しているため、毎日の仕事は真剣勝負です。この仕組みの違いが、すき家とドンキとの決定的な違いになっています。全ては本社のマニュアルが決めるすき家と、自分が考えて行動しなければ誰も代わってくれないドンキの違い。苦労して仕組みを作り上げた努力が報われています。
昔、JR新宿駅から中野経由で西荻窪駅で降り、北口を真っすぐ青梅街道までいった当たりのビルの1階に雑貨店がありました。店頭の看板には「泥棒市場」の文字があって、今で云う訳あり商品が並んでいます。今で云うバラエティーストアーなんでしょうが、何度か店内に入ったことがあります。この店が将来ドン・キホーテに成長する最初の店舗だなんて全く想像できませんでした。
マーケティング・経営ランキング