コロナの流行以降、わが国では飲食店の倒産が増え続けています。その原因の一つは、飲食店で働く人手の不足が深刻化しているから。近年では外国からの労働者が飲食店の厨房や接客で働く姿は当たり前になっていますが、それでも人手を集めることができず経営の行き詰る店は多いです。
そんな環境のなか、昨年10月米国サンドイッチチェーン「サブウェイ」の国内事業を買収した「ワタミ」が、新しい人手対策を発表しました。隙間バイトの仲介アプリを手掛ける「タイミー」との業務提携です。新たなサブウエイの店舗運営は、店長以外を隙間バイトで担うというもの。
記者発表でワタミの渡邉社長は「隙間を埋めるのではなく、バイトが店舗運営の全てを担う」と発言しています。今年度は都心を中心に13の直営店で実際に運営を始めると云います。ただ通常のバイトを採用するのではなく、どうして隙間バイトに限定するのか分かりません。
店舗運営をバイトやパートに任せる例では、ドン・キホーテがありますし食品スーパーのヤオコーも集客力の高い営業で有名です。ただどちらの会社も現在の高い収益を上げるようになるまでに、何年もの試行錯誤の積み重ねが現在の成果へとつながってといます。
経営の変わった最初から店舗運営の全てを隙間バイトに担うことができるのか疑問です。当然ワタミの企業文化をサブウェイに移すという話ではありません。また従来のサブウェイの伝統を踏襲するということでもなさそうです。まさか隙間バイトの人たちに新しいサブウェイの企業文化を造ってもらおうという話でもなさそうです。
自信満々に語るワタミ渡邉社長の隣で不安な視線で立っているタイミーの小川代表の顔が印象的でした。人手不足は現在、大半の会社に共通する課題です。バイトやパートの人をどう能力を生かすか、経営者にとっては自分の能力が問われる課題でもあります。サブウェイのオーナーから、独自のパン生地作りの大変さを聞いているだけに隙間バイトの技術には違和感を感じます。
【ひとり言】
ワタミは渡邊社長によるワンマン経営の会社。一時、渡邊氏が国会議員をして経営不在の時期は、経営判断も不在で厳しい時期が続いていました。現在は、思い切った判断が功を奏して宅配弁当、焼き肉などにより黒字経営へ転換に成功しています。今回のタイミーとの提携がうまくいくかどうか、多くの企業が悩む人手問題解消策だけに興味があります。
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