日本企業の生産性は、G7の6カ国と比べても、OECDの各国に比べても最低レベルの低さです。日ごろから日本製品に質の高さやおもてなしのサービスを考えると、何とも不思議な気持ちがします。これから開業を考えている人は、生産性を考えて成功のヒントにしてください。
生産性と云われて、具体的にはどのようなことを指しているのか分からない点も多いです。テキストを読みますと、1時間働いていくら付加価値を生んだか数値化したものとでています。簡単な例を考えると、アルミ素材を与えられそこからコップを作るとします。乱暴な例えですが、コップの商品価格からアルミ素材の価格を引くと付加価値です。
このコップの価格の安いことが生産性の低さになります。日本人には高い品質の商品を安い価格で売ることを美徳とする精神があります。また売り手が「サービスしときます」というと、「タダに負けときます」というニュアンスがあります。サービスすることでタダにする文化が生きています。
ここで考えなくてはいけないのは、長時間会社にいてダラダラと仕事をする働き方。いつまでも紙ベースで人手に頼った仕事の習慣。社員が成果をだしても評価につなげない会社文化。デジタル技術を早く取り入れずに昔ながらの業務方法に頼り切った仕事の方法。
24年から始まった賃金の大幅上昇の波は、企業のふるい分けを進めています。付加価値を大幅に伸ばせない会社に賃上げは不可能です。社会の流れから取り残され、結局は廃業や倒産に追い込まれることになります。今は震度7規模の地震で揺れている状態で、この先揺れが収まると変われない会社は市場から消えることになります。
特に、小売り、飲食、介護などのサービス業は風当たりは強くなりそうです。現状のビジネスで価格を高く売るためには、何が必要なのか考える時です。現在の日本は、大企業を中心にしたビジネスで回っています。こんなときに、あえて中小企業を対象にしたイノベーションをどう生むか考える時です。
またお客さんが気付いていないけれど、欲しいと思われるモノをどう生みだしどんなカタチで提供するか。生産性の原型のような商品開発を全社で進めることで、生産性向上に一歩一歩進んでいくことになります。生産性のための特効薬などありませんが、全社を挙げて関心を高めることが大きな一歩になります。
アメリカでよくみられる飲食店などでウエーターに渡される心づけのチップは、生産性を高めているかどうか話題になることがあるようです。現金が支払われるわけですから、料金を高める効果はありそうです。日本からみますと、チップを必要としない日本は外国人に魅力があるのは確かなようです。それで生産性が低いといわれるのは心外な気持ちになりますが。
起業・独立ランキング