わが国では高市新内閣の誕生し、株価は5万円の大台に迫る勢いで上昇が続いています。まだ新内閣が具体的な政策を決めたわけではなく、アベノミクスの継承を口にするだけなのに株価上昇は止まりません。逆にこんなに期待値が高いと、現実の経済政策に具体性が欠けていた場合は逆恨みが大きいようで怖いです。
現在の日本経済は世界に対しほとんど影響力はない代わりに、アメリカの異変に対しては逆に影響を受けやすい特徴があります。リーマンショックにしろコロナ禍暴落にしろ、日本は最も大きな振れ幅で暴落してきました。今もトランプ関税において、同盟国とは云いながら負の影響を最も大きく受けている気がします。
そのアメリカはここにきてスタグフレーションの到来が囁かれています。物価上昇と不況とによって経済が蝕まれるスタグフレーション。イーロン・マスクで有名になった政府効率化省は28万9000人の首切りを計画していますし、メタやインテルなど25年1月~9月までに約95万人が失業すると云われます。
しかも10月1日から始まったばかりのアメリカ会計年度に、連邦議会は予算を組めない状態が続き、首切りばかりでなく公務員が給与を貰えない事態まで起こっています。その張本人のトランプ大統領ですが、アメリカ国内へ民間企業の多額の投資促進を進めてきました。その金額は25年、26年で7500億ドルに達します。
日本円に直すと約112兆円。こんな大金をグーグル、アマゾン、マイクロソフト、メタの4社だけの出資で賄います。投資する対象は全てAI向けデータセンターです。日本のソフトバンクグループもオラクルやオープンAIと共同で4年間に5000億ドル(約75兆円)の投資をする予定です。
今は業績のよい会社がこぞってAI投資を競っている状態です。そして世界の多くの投資家はこれらの会社の株式に競って投資しています。多分これを読んでいる人のなかにも、ソフトバンク、さくらインターネット、東京エレクトロンなど生成AIやAI向けデータセンターに投資している人も少なくないと思います。
ただ今年8月のMITの報告書には、AIに投資している企業の95%は未だ生成AIから何のリターンも得ていないと書かれています。オープンAIのアルトマンCEOも、「一部の投資家は大金を失うことになる」と発言しています。2000年に発生したITバブルの崩壊同様に、過剰期待への投資によって企業倒産と株式の暴落は避けられない状況です。
今回も似たようなことが起こる可能性は高くなっています。生成AI関連への過剰な投資とトランプ大統領の国内投資誘導が重なり、一方で関税引き上げによる消費の冷え込みを招いています。不動産屋のおっさんが景気をよくして金持ちの懐を温めようと頑張り過ぎた結果、たいへんなビジネスの混乱と大不況とを招くことになりそうです。
2000年に発生したITバブルにおいても、インターネットが普及したらいくらでも利益が上がると思い込んだ投資家がドンドン資金をつぎ込みました。物価上昇が続いたためFRBも政策金利を4.75%から6,5%まで引き上げました。そのため資金調達が困難になってエンロンやワールドコムといった会社が倒産します。多分今回も似たような経緯を辿ってAIバブルの崩壊は起こると思われます。こんな馬鹿げた騒ぎには巻き込まれないことです。
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