トランプ大統領が10月30日の米中首脳会談を「G2会談」と発言したことで波紋を広げています。トランプ大統領がどのような意図をもってG2と言い出したか知りませんが、習近平主席はオバマ大統領の時代に、「世界を米国と中国の2大大国によって支配しよう」と提案したことがG2の始まりです。
この時オバマ大統領は拒否しましたが、2G は 「Group of Tow」 のことでアジアは中国のリーダーシップに任せることを意味します。この米中首脳が会談を行った時期、中国はリーマンショックで世界中を大不況が覆ったとき、多額の資金をばらまいて世界に需要を喚起した時期でした。
一方米国はオバマ大統領が「アメリカは世界の警察官ではない」とも発言。米国が世界のあらゆる紛争に首を突っ込むことはしないと言い出しました。中国 習近平主席は中国と米国との2国で世界を分割して支配することを提案していた時期です。両国が衝突しない、対抗しないための方策とされています。
当時、オバマ大統領ははっきりと断ったと云われています。在任中の二人は9回も会談を重ねています。世界最大の大国米国が、徐々にその経済力を低下させていました。中国がアメリカに代わって、世界最大の経済大国に上り詰めようとしていた時期でもあります。あれから10年の月日が経ちました。
日本は米国と中国との間に挟まれた国です。またトランプ大統領は不動産屋であり、本職の政治家ではありませんからG2という言葉に対する重みに認識がないかも知れません。しかしオバマ政権からのアメリカの継続性を考えるなら、米中2カ国がいがみ合わないで大人しくしているとは到底思えません。
トランプ大統領は外交の素人とはいえ、G2のもつ言葉の重みは知っているはず。外交力によってノーベル賞を狙っていると云われる大統領です。中国が10年前ほど国に勢いがないのが唯一の救いです。もしアジアが中国の支配下に置かれたら日本はどうなるのか真剣に考える必要がありそうです。
決して中国に勝る軍事力を日本が備えるべきと云っているわけではありません。現実問題として、今の日本には中国を上回る軍備を備える経済力も人的能力もありません。ただ総力を挙げてソフトパワーを備えないと、海外と国内との軍国主義者の力によってこの国は振り回されてしまいます。トランプのように言葉だけで、実際には外国からの攻撃に日本を守ってくれない可能性も大きいです。過度にアメリカへの依存を高めないで、柔軟な知恵がこの国には必要です。
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