調査会社の調べでは、今年1~10月飲食店の倒産件数は734件(負債額1千万円以上)で過去最多を記録しています。せっかく歴史的なコロナ禍の中を生き延びた飲食店ですが、あれから5年が経って再び大きな倒産の波にもまれています。飲食店開業を目指す人も少なくないですから真剣に考える時期です。
現在の倒産のきっかけは、円安による食材価格の上昇と人手不足による賃上げ圧力が大きく影響しています。特に輸入牛肉は、コロナ前の2020年初めの価格と比較しますと8割近くも上昇しています。コメも野菜も上がり続けていますから、飲食店の利益にとって相当部分を食材が占める計算になってきます。
その上に従業員の賃上げ圧力も高まっています。人手不足のため在籍している従業員に不足分の仕事を回すことになります。その結果、これまで頑張ってくれていた従業員まで悲鳴を上げて辞めていきます。これはいつまでもデフレ時代の経営が頭から抜けない経営者のお店でよくみられる傾向です。
結局、単に美味しいメニューをお客さんに提供するだけでなく、お店の経営方針がこの材料費上昇、人手不足の中でどのような店舗運営を考えるか、経営能力の問題になっています。強引にデジタル化を進めるだけでは、お店は良くてもお客さんが付いてこれないケースをよく見かけます。ロボットの導入やネット注文に切り替えている店は増えていますが、肝心のお客さんが集まらない結果を招いている店も増えています。
これらは経営力不足の典型例です。デジタル化ばかりでなく、低価格を売りにするのか、美味しさを売りにするのか、はっきりしたメッセージを発しないお店は消えていきます。開業してから方針を決めるのでは遅すぎるので、開業する前にしっかりした方針を決めた上で開業するべきです。現在は中途半端なお店はどんどん消えています。
デフレが長く続いた数年前と違い、現在はインフレで物価と金利の上昇が続いています。お店によっては料金引き上げに積極的な店舗があります。ただ調子にのって料金を上げ過ぎますと、パッタリと来店客が激減することもあり得ます。ほとんどの経営者にとって初めてのインフレ経験ですから、大きな間違いを犯すこともでてきます。慎重に他店の動向にも気を配らないと初めてのインフレですから、取り返しの利かない失敗を犯す可能性も今後ますますでてきそうです。
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