わが国は半導体開発技術において、過っては世界の先頭を走っていたのに今はその他大勢になっています。モバイルバッテリーの製造においても、携帯電話においてもほとんど中国、韓国、台湾の各国から遅れをとってしまいました。本来なら何故これほど開発製造能力が落ち込んでしまったのか、国を挙げて考える必要があると思います。
その代わりといってはなんですが、日本政府は他国から遅れをとっているAI開発に関して、国が主導して基本計画を決定しました。官民の一致団結によって政府が投資して人材確保や普及に努めようとするものです。ただこれまで国が主導した産業政策で成功した例があるのかはなはな疑問です。
日本経済はバブル崩壊以降のこの30年近く、すっかり体力が弱まってしまいました。その原因の一つと云われているのが、企業の利益マージンの低下です。1980年代後半に発生したバブル経済によって、わが国は長いことバブル清算に時間を費やしました。最初は住宅専門7社の負債処理の失敗です。
当初は6850億円ほどの負債処理で大揉めに揉め、ピークには6兆5千億円にまで負債は膨らみました。政権交代の経験がなかったわが国には、「損切り」という発想がなく、ほぼ10倍近い負債を抱えるまでになりました。この時から多額の負債処理に政府が乗り出すケースが増えてきました。
問題なのは、この負債処理がいつまでも終えられなくて2000年代の小泉内閣にまで時間がかかったこと。そして日本経済はそれまで経済の教科書でしか知られていなかった「デフレ」に落ち込んでしまったことです。物価がほんど上昇しないデフレになりますと、商品やサービス価格の利益マージンがスカスカになるほど少なくなります。
モノを買う消費者は1円でも安い方がありがたいです。ただ価格の中には、生産するための限界費用のほかに製造会社の設備投資、研究開発、商品開発の費用が必要になります。この費用がなければ、新製品は生まれません。日本経済はデフレの30年近い時間の間に、次の製品を開発する余裕をなくしてしまいました。
結局、半導体製造では次世代製品を開発するための投資資金がなくて、サムソンやTSMCに追い越されてしまいました。ただ現在にように、政府が企業向けの資金支援をして、消費者向けの収入確保に本腰を入れないと、消費が伸びないためにいつまでも企業の利益マージンは増えません。何か大きな間違いをしている気がします。
先日東京都世田谷区の西の端の用賀駅に行ってきました。毎年、年の暮れには出かけていますが、街の店舗が減っているのでびっくりしました。世田谷区というと人口も多く、お店もたくさんあるように思いがちですが、今は東京都でも少し中心部から離れるとお店は営業が難しいようです。政府は真剣に個人消費を考えてもらいたいものです。企業なら政治献金があるのかも知れませんが、やはり国の基本は個人の生活です。
マーケティング・経営ランキング