起業へと向かう道筋には人それぞれ色々な道があるが、八田俊吾さんの場合は将来への希望がキーワードとなった。
彼がそれまで勤めていたのは、大阪の物流運送会社。地域の業者としては大手の部類に入る従業員約200人、売上げ高約50億円の会社で、彼自身も含めての同属経営で、しかも社長のワンマン会社だった。
そこに20年近く勤めて専務にまでなっていた彼は、当然のことながら将来は社長になるものと、本人も周囲の人たちも思っていた。所が、社長が思いもよらない脳梗塞で倒れてしまい、緊急事態の中で社長は自分が会長に退き、後任の社長にはもう一人の専務の長女を指名した。
同属会社の場合、特別なことがない限り社長は、倒れたり死ぬまでまで続けることになる。八田さんはそこで、独立開業への道を選択することを決断する。
05年2月、物流の効率化や社員教育を請け負う株式会社を、1円起業の特例法を活用して資本金50万円で設立した。当初は、取引先の開拓作業から苦労したが、一年を過ぎて何とか事業も軌道に乗りはじめているようだ。
起業にいきなり迫られるケースはよくある。ただ、八田さんの場合もそうだが、まったくの準備不足の場合、思いのほか苦労するケースが多い。社長と専務というと、社内順序で言うとテッペンとその下のたった一つしか階段は違わないのに、その一つの階段は思いのほか離れているようだ。
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