岩手県盛岡市の郊外にある本格的フランス料理店「ル・グラン・ブルー」の経営者・伊勢千賀子さん(36)がこの店を始めたのは、3年前の03年9月のこと。
若い女性が経営してるということで、両親から残された遺産のレストランと思われがちだが、それが遺産でも何でもなく、伊勢さんと同僚の出資によって設立された会社が運営するレストランだ。
伊勢さんは、学校を卒業すると証券会社に入社、営業担当として働いていた。ただ、ここは食べていくために就職した先で、本当にしたい仕事は調理師という思いが強かった。
そんな思いが募って、入社6年で証券会社を辞め、調理師を目指すため料理学校に入り直した。26歳のときである。
その後、1年間の学校を卒業して、調理のプロを目指すも、年齢や女性であることが障壁になって勤め先には苦労をする。
盛岡という地方都市であるため、本格的なレストランの就職先に空がないのだ。伊勢さんは学校の先生の口利きで、何とかホテルの厨房に勤めることが出来た。
そこで皿洗いや野菜切りの下働きから始めて、5年経ってシェフのアシスタントまでになったが、02年の不況期でホテル側がフランス料理レストランの閉鎖を決める。
伊勢さんも仲間のシェフも、一時は盛岡を離れることも考えたが、盛岡に本格的なレストランを残したくて、自分たちの出資によって起業することにした。
先輩シェフのほとんどは、伊勢さんより年上の男性ばかりだが、彼らは職人としてシェフ一筋の人ばかりなので、営業経験もある伊勢さんが社長に就任することになった。
伊勢さんの立派なところは、調理師になるために料理学校に入ったように、社長になるためには起業セミナーで経営を勉強し、自分でも独自にマネジメントを学び、開業資金を自治体から借りるためにノウハウを相談するなど、何でも自分で積極的にこなしてしまうこと。
一方では、地元の農家からの野菜の仕入れを始めたり、地元の人に喜ばれるメニュー作りなど、年上のシェフたちと上手い人間関係を築いていることだ。
女性の起業家には、地位が人を育てたと云われる人が多いが、彼女もそんな中の一人のような気がする。
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