世の中、起業というと資格とか、認可とか、国の顔色ばかりを伺う風潮が強いが、自分で自分に資格を与えた実力派の女性がいる。葬儀相談員の市川愛さん(33)である。
結婚式にはウェディングプランナーがいるが、これは専門学校が発行する民間資格だし、受験勉強には塾教師がいるが、これは特別な資格はない。ならば、葬式にも葬儀相談員がいてもおかしくないはず。
市川さんがそう考えたのは、前職が葬儀業界では初めて登場した葬式代行会社だったから。彼女は学校を出ると装飾メーカーに7年間勤めて、商品企画や販売企画などでお客さんの視線に立った顧客満足の精神を学んだ。
その後、転職で勤めた先が葬式代行会社だった。そこは、一生に何度も経験することのない遺族に代わって、葬儀社の常識が大手を振るう反顧客満足の世界。
市川さんは、6年間葬儀代行会社に勤めて、葬儀における相談役の必要性を痛切に感じた。そして、04年には独立開業へと突き進む。
彼女の仕事は、喪主の意向を聞いた上で葬儀社の選定、葬儀プランの見直し、現場スタッフの監視など、親族や葬儀社相手の汚れ役やドロかぶりに徹している。その報酬は、1回当たり15万円なり。
現在は、平均すると月に4、5回の相談員の仕事があり、そのほか講演会や執筆活動、葬儀関連業者相手のコンサルティングも行っている。
このような相談員の仕事は、資格云々よりも実績がモノをいう。営業活動ができない反面、
その仕事振りに感心して、口コミや人伝で仕事を頼まれることが多い。
現代は、本音ベースで儀式を執り行う時代。ウエディングプランナーもイベントプロデューサーも、10年、20年前にはほとんど知られていなかった。葬儀相談員も、これから有望な起業の種となって、全国に広がる可能性が高い。
《もしお役に立ちましたら、ワンクリックお願いします》
人気blogランキングへ