会社勤めをしていると、自分が担当している業務の中で、収益を高めるための新企画やコスト削減策など、会社に利益をもたらすアイデアを思いつくことはよくある。
ただ、そのアイデアが生かされるか、自分の頭の中で終わってしまうか、はたまた提案はしてみたが受け手の上司にまったく熱意がないなど、せっかくのアイデアもその後の成り行きは様ざまだ。
NTTに勤めて、電話料金の請求書発行を担当していた谷口昭博さんは、郵便物の大口契約に目をつけ、別会社を設立して他社の郵便物も集めて郵送コストを下げることを会社に提案していた。
現在の郵政公社を例にとると、一通90円(50G)の封書は一回1万通以上大量発送を行う大企業の場合は、76.5円に割引を受けられる。
谷口さんは、提案が却下されたことに腹を立て、自分で郵送代行会社のメールソリューション・ジャパンを01年6月に立ち上げてしまった。ビジネスは、一日に1000通以上の中小企業の郵便物をまとめて料金の引下げである。
しかも、発送量を増やすことで、1通55円まで圧縮することが可能になった。また、郵便物だけでなく、冊子・小包などの料金も通常料金よりも安い金額で代行している。
基本的なビジネスの骨組みは、バスの回数券を一冊単位で大量に買い付け、それを一枚つづバラ売りすることで差額を収益とする仕組みと同じである。
ただ、郵政公社の代行ともなると金額も大きく、05年度の売上げは16億円にも達している。しかも、昨年度の取り扱い実績は、封書が4000万通、冊子・小包が2400万通にもなる。
谷口さんによると、郵便局や総務省との交渉力や、郵便に対する豊富な知識、そして事業開始当初から月200万通と云われる採算ラインが、後続の会社の参入を妨げているようだ。
中小企業の力を結集して大企業並みの交渉力をもつことは、これまでも色んな業種で試みが行われているが、このビジネスモデルでの起業チャンスはまだまだありそうだ。
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