電力・ガス料金の急激な値上がりにより、企業の省エネに対する関心はこれまでになく高まっている。そんな企業の省エネニーズを見越して起業を行ったのが、
ウッドノートの水谷義和社長だ。
水谷さんは学生時代に、卒論のための研究課題で都内の数百軒にのぼるビルを回って、電気やガスの使用量を調査した経験を持つ。そこで、同じ規模のビルなのに、エネルギーの使用量には驚くほど大きな違いがあることを知った。
そのことに危機感をもったのは、学校を卒業して勤めた大手ゼネコンで、建物の省エネ企画・設計を担当していたころ。ビルの寿命といわれる50年の総コストを考えると、最初にかかるビル建設費は約15%に過ぎず、総コストのほとんどの85%は光熱費や設備更新の費用に占められていることだ。
そこでビル所有者向けに、省エネの改善提案を行う新種のコンサルティングの起業を考えたが、何せ一介のサラリーマンの水谷さんには、起業をするための開業資金がない。しかも、顧客対象となるのは、ビルを所有する大手企業がほとんどだ。個人事業では相手にしてもらえそうもないし、そこそこの会社組織でなければ対等な交渉は難しい。
水谷さんが考えたのは、事業者向けローンのニッシンが行っている、起業家への出資公募に応募することで、05年8月会社の設立にこぎつけた。水谷さんの狙いは初年度からあたり、1年を経過して15人の従業員で初年度売上げ約1億円超に達している。
日々のエネルギー使用状況の解析による省エネ相談は、ホテル、スポーツ施設、工場などにも広がり、10年から15年での設備更新によって、コスト削減だけでなく建物の価値向上にもつながるっている。
水谷さんの次の狙いは、不動産投資ファンドと連携することで、投資家価値を高め、配当利回りの向上にも焦点を当てようとしている。
学生時代から、20年近く建物の省エネ一筋に取り組むことで、起業に結びつけた水谷さんの執念には驚かされる。起業には、この時間と執念が欠かせないことを物語っている。
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