Mさんが起業をして会社を立ち上げて今年で5年目。以前は、某銀行で部長をしていたが、90年代後半の銀行不良債権問題で立ち行かなくなり、国有化、外資ファンドへの売却の道で某銀行が消滅するのに伴い、M さんも残務処理の後に現在の会社を立ち上げた。
よく一度地獄を見た人間は強いと言うが、M さんは地獄を見る前から強かった。元々、某銀行内ではラインと呼ばれるエリートコースを歩いた人間ではなく、裏口から入社した人間だった。バブルが弾けて銀行が乱世に突入してからは、急にフットライトを浴びて銀行の建て直しの部署で力を発揮し、消滅してからは債権の回収の第一線で注目を集めた。
銀行を離れるときには、M さんを引き抜こうとした銀行や会社は、10社や20社ではないと言われる。ただ、彼が選んだのは、化学系の会社設立だった。
起業をして5年が経っが、会社は嵐の中の慌しさのなかを順調に成長を続けている。乱世に強いM さんの本領が発揮されているのだ。まもなく、60歳に届こうとしているM さんが、20代の若い社員と売上げの利益率を上げるためには、今何をするべきか真剣な話し合いをする。
M さんは、若手社員に仕事の重要な役割を任せているし、仕事の進め方も若い人の流儀を尊重している。銀行の不良債権処理で修羅場を経験した人は、舞台が変わろうとその能力は一向に衰えを知らない。
50代で起業を行おうとする人が多いが、M さんの口癖の「昔の楽しいことは、全て忘れること」は、誰にとっても大切なようだ。
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