今月18日、大阪府吹田市で大型観光バスがコンクリート柱に衝突して27人が死傷した事故は、中小観光バス会社を経営している人だけでなく、会社を設立したばかりの起業家にとっても背筋の寒くなる事故だったに違いない。
長野県松川村の「あずみ野観光バス」は、社長と専務が夫婦で、そこに長男以下4人の従業員が運転手として働く弱小バス会社。地元の白馬スキー場への送迎が収益の柱で、冬場は1月から3月までフル回転で営業をしていたようだ。
地元の信濃毎日新聞などによると、例年この時期は一年の売上げの半分近くを稼ぐらしく、このバス会社を辞めた運転手の話しでは、シーズンに入ると1日も休まずに運転をさせられた年もあって、身の危険を感じて会社を辞めたと証言している。
これと似たようなことは、起業したばかりの会社などでもよく起こりがちなことで、明日の運転資金に悩む新米社長は、家でどうしょうか悩むのも会社に出勤して悩むのも同じことと、設立当初は休みなして出勤する。
設立当初は、会社が全員熱くなっているので社員も同じように出勤していると、とうとう根をあげて社員が会社を辞めてしまう。この連続で、いつまで経ってもベテラン社員を雇うことのできない、成長しない会社に陥ってしまうところが「あずみ野観光バス」と同じということになる。
特に今年のように雪不足が深刻で、スキーシーズンが例年より極端に短くなりそうな年は、安全も安心も無視して稼ぐことに専念して、結果的にこのバス会社のように限りなく倒産に近づくのが落ちである。
起業家は、どんなことがあっても心のバランスを考えた仕事の進め方を忘れてはならない。
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