一昔前、釣り好きのサラリーマンの定年後の夢と云うと、釣り道具屋か釣り船屋で起業することだった。1997年には約2千万人もいた釣り人口が、昨年は約1千万人に半減して、釣好きサラリーマンの夢も夢と消えそうだったが、大手電機メーカーのシステムエンジニアだったS さんは常識と逆の道をいった。
彼は景気が上向き始めた04年に、横浜・金沢八景で廃業する人から釣り船を安く分けてもらい、新たに釣り船屋を始めた一人。彼自身が10数年来の釣り好きだったので、釣り人口の減少も、レジャーとしての釣りの問題点もよく認識していた。
そこで、釣り船屋を始めると同時に、女性の釣り好き作りに取り掛かった。既に女性客の乗船料半額サービスはどこの船でも行われていたが、その上に女性客向けのアドバイザー兼アシスタントを一人乗せて、餌付けから掛かった魚の捕獲まで手伝いをさせた。
また、当日の釣果が少ない日には、お土産に市場で手当てをした魚を持たせて帰るようにした。そして、一番の目玉は、トイレの大改造を行ったことだ。女性に気持ちよくトイレを使ってもらえるように、船内も休憩場もトイレをピカピカにした。
このような努力が実って、釣り人口が半減したと言われるなか、彼の釣り船に限っては、土日などは一月前から予約で埋まっている。また平日も、主婦の人が参加するようになって、お客さん集めに苦労することはなくなっている。
女性が集まるところに、男性も集まるのは世界の常識。S さんは、時間に余裕の出来る団塊世代の男性を、再び釣り船に集めようと策を練っている。
釣り人口がこの9年で半減などと聞くと、もう釣りでの起業に将来はないように思いがちだが、実際は戦略やアイデア次第でまだまだ起業チャンスは、そこここに転がっている。
《もしお役に立ちましたら、ワンクリックお願いします》
人気blogランキングへ
《
起業相談も受付けています》