IT、ITと大企業から個人事業まで、世の中挙げてデジタルビジネス一色のご時世である。
だが、株式でも、ビジネスでも使われる格言「人の行く裏に道あり花の山」ではないが、デジタル一色のなかでも、アナログスタイルで異色の事業展開をしている会社もある。
山形県山辺町の峯田電器は、従業員数24人の街の電気屋さん。ここでは、営業担当者が1人1000戸の受け持ち世帯を担当して、各世帯月1回のペースで個別訪問を行い御用聞き営業を展開している。
ITもデジタルも、コストが安く効率的ではあるが、機器を使用できる人が限られることは最大の弱点。年齢が50歳を越える層では、利用者が極端に少なくなるし、この層はお金持ちが多いのも特徴だ。
一戸、一戸個別訪問での営業の結果、以前からの家電製品の販売は5割近くに減り、新たな介護製品、住宅リフォーム、太陽光発電機器、家庭用融雪装置などが、売上げの半分を占めるまでになっている。
ITやデジタルを活用した販売は効率的な反面、品揃えした商品しか売ることができないが、御用聞き営業では、毎日がマーケットリサーチをしているようなもので、販売品目がドンドン有機的な広がりを見せる。
高齢者が多い地域や人口の過疎化が進む地域では、御用聞き営業の威力はまだまだ見捨てたものではない。業種によっては、この営業方法を真剣に考えることも必要だ。